トップコラム連載・特集    

  トップ > コラム > 潮騒


   

潮騒

2017/5/16

 大阪城公園内にある戦争資料館「ピースおおさか」の特別展で、市民から寄贈された戦時資料を拝見する機会があった。いずれの品も元の所有者が激動の時代を必死に生きていた証しだ◆中でも目に留まったのが「木製かぶと」(ヘルメット)だった。塗装された外観は軍用鉄帽風ながら、実態は本来の防護力が望めなかったと思われる製品。あらゆる物資の不足を補う「代用品」が数多く存在した中で、ヘルメットまで木で作らざるを得なかった当時の逼迫(ひっぱく)した空気を肌で感じた◆戦争の長期化と戦局悪化に伴う金属供出(金属類回収令)の影響は顕著で、過去の展示では陶製のやかん、アイロン、服のボタンなど、「こんな物まで」という代用品を目にした◆大阪市内に目をやれば現在も金属供出の痕跡は至る所に残っている。社寺関連では銅像や梵鐘(ぼんしょう)が供出された例が知られ、かつて四天王寺(天王寺区)の大釣鐘堂にあった世界最大の梵鐘も残念ながら姿を消した。残ったお堂が「英霊堂」と名を変え、戦没者や災害犠牲者を供養しているのも、そういった縁によるものという◆寄贈品には米穀通帳や軍事費獲得として発行された国債などもあり、生活必需品を含め、すべてを奪っていった戦争が身近な国民生活にどのような影響を与えたかについてあらためて考えさせられた。(佐)
 

<< コラムトップに戻る



  トップ > コラム > 潮騒
本ページ内に掲載の記事・写真など一切の無断転載を禁じます。
すべての記事・写真の著作権は(株)ザ・プレス大阪に帰属します。
ネットワーク上の著作権について(日本新聞協会)

ご意見・ご感想 は住所、氏名を明記の上Email:osaka@nnn.co.jpまで