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潮騒

2017/11/11

 人形、太夫、三味線の三つの部門から成り立つ文楽は、その人形遣いについても足遣い、左遣い、主(おも)遣いの三つの役割がある◆足遣いは中腰になって人形の足を、左遣いは右手で人形の左手を、主遣いは人形の首(かしら)と右手をそれぞれ操る。3人掛かりで人形1体を動かす人形劇は世界で類を見ないそうだ◆桐竹勘十郎さん、吉田玉女(二代目吉田玉男)さんは著書『文楽へようこそ』で「足遣い10年、左遣い15年といわれますが、実際に経験してみて、やはりそのくらいの時間がかかると分かりました」と振り返っている。両氏はともに1953年生まれ。中学校卒業と同時にそれぞれの師匠に入門した間柄でもある◆黒頭巾をかぶった足遣い、左遣いに対し、主遣いは正装だが、人形に命を吹き込むことによって観客の目は“役者”としての人形に向く。舞台裏を知れば関心は高まり、実際に鑑賞すれば三位一体の妙に魅せられるかもしれない。「『ようできている』から何百年もお客さんたちの前で繰り返し、上演されてきたんです」と両氏は本書につづっている◆とはいえ、文楽に対して敷居が高い印象を抱く向きがあるのも確かだ。「文楽女子」の目線で魅力を発信する試みが最近始まったが、愛好者の裾野を広げることができるかどうか。伝統芸能を存続する課題だろう。(深)
 

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