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潮騒

2017/12/09

 表が店、奧に主人家族の住まい、2階に奉公人の部屋−。江戸時代以来の「船場」の商家スタイルとして、大阪天満宮文化研究所の近江晴子さんは監修した『船場大阪を語りつぐ』に追記している◆その商家スタイルは時代の流れとともに崩れていく。商店は会社組織になり、番頭、手代、丁稚(でっち)は会社員に。主人家族は私鉄各社が開発した郊外住宅などへ移ったためだ。「旦(だん)さん」「御寮(ごりょん)さん」の船場言葉は今は昔であり、“重要無形文化財”だと近江さんは先日の講演で問題提起していた◆消えゆく船場言葉だけでなく、大阪弁も変化している話を耳にした。核家族化が進む昨今にあって家族の会話が減り、言葉がテレビの音声から耳に入るため「標準語っぽい」大阪弁になっているらしい◆何だか寂しい話である。余談だが、作家の田辺聖子さんは『大阪弁ちゃらんぽらん』でこう指摘している。日本語の乱れというのはむしろ、方言が標準語に吸収され、方言独自の生々発展の力を失い、ひいてはその地域に住む人々の心まで廃退、萎縮させてしまうことを指すのでないか、と◆平成は1年4カ月余りで幕を閉じる。時代は流れても、会話を通して心と心が通じる方言は大切にしたいと思う。若い人を巻き込み「ええ言葉」を伝えていきたい、と近江さんは結びに語っていた。(深)
 

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