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潮騒

2018/2/6

 戦争体験の「語り部」ならぬ「語り継ぎ部」という聞き慣れないキーワードを最初に耳にしたのは約6年前。場所は大阪市中央区の戦争博物館「ピースおおさか」で、当時専門職員だった常本一さん(故人)の話の中にあったことを記憶している◆戦後70年余年の歳月を経るまでもなく、「戦争の風化」は危惧され続けている。従軍を含む戦争の体験を語る方々が減るという現実の中、当事者に成り代わり、体験の記憶を伝えていく語り継ぎ部の育成は緊急の課題でもある◆これまでに同館などで育成に向けた講演会が開かれているほか、すでに一部の人々によって読み聞かせや紙芝居、劇、音楽など、さまざまな形態で実践されている◆次世代に託すという同様の動きは、活字の分野にも見られる。同市天王寺区の出版社、新風書房(福山琢磨代表)が戦争体験手記を全国公募し、毎年夏に刊行している『孫たちへの証言』では、戦後生まれの世代が家族の戦争体験を伝える投稿も目立ってきた◆一昨年からは、こうした傾向を受けて「伝承編」の項目が設けられている。孫が祖父母の戦争体験を聞き取ったというケースもあり、わずかながらも具現化を実感した。今夏に発行予定の第31集の締め切りは3月末。また一つ、後世に継承される貴重な“記録遺産”に注目したい。(佐)
 

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