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潮騒

2018/3/6

 東日本大震災の発生から11日で7年となるのを前に、先月下旬、児童、教員合わせて84人が犠牲となった宮城県石巻市の市立大川小の閉校式のニュースを目にした。児童数減で他校との統合に伴う閉校で、前身を含めると明治初期からの長い歴史が本年度末で閉じられる◆発災の年に現地を訪れた際、当初の避難予定先だった裏山に登らせてもらった。津波到達点だったという高さから半円形の特徴的な校舎や後方の北上川を一望し、巨大な津波の脅威を改めて実感した◆校庭の一画では、地震の10年程前に児童が卒業記念で描いた壁画が津波に耐えた。荒涼とした光景の中、詩人・宮沢賢治の代表作「銀河鉄道の夜」をイメージした絵や「(雨ニ)モマケズ(風ニ)モマケズ」の文字がいたく心に残った◆被災した校舎については「見るのがつらい」という遺族の強い感情などもあって、保存と解体で賛否両論が渦巻いたが、一昨年に「震災遺構」としての保存が決定。震災の教訓を未来に継承するという◆全国各地の戦争関連遺構を巡っても、過去に幾度となく保存・解体の議論が繰り返されてきた。安全性や維持管理といった多くの課題も抱えており、ともすれば撤去の運命にある物件も多い。もの言わぬ「歴史の証言者」の余生も、決して安泰ではないことが気掛かりだ。(佐)
 

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