水都再生を目指して<3>
おもろなるぞ道頓堀川
水都再生事業などハード面での取り組みが進む一方、民間や市民サイドでは「道頓堀川水泳大会」など川に目を向けた斬新な発想のイベントが企画・実行されるようになってきた。市民の暮らしから川が遠のいて久しいが、大阪の街には水都の意味をもう一度問い直し、街の活力を生み出そうと奔走する仕掛け人たちがいる。その一端を紹介する。
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「ふるさ都・夢づくり
協議会」が導入した水
陸両用車。来春に大阪
をはじめ関西で開かれ
る世界水フォーラム、
世界子供水フォーラム
のPRなどでも活躍
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水泳大会ができる川に
市民団体、NPOの取り組み
大阪市内で市民団体やNPO(民間非営利団体)が川を軸にした活動を活発に繰り広げている。道頓堀川での水泳大会など川そのものを舞台にしたり、川を介して街の在り方を考えるなど、アプローチの手法はさまざまだ。
同市都島区の市民団体「ふるさ都・夢づくり協議会」(須知裕曠会長)は昨年秋、大阪・ミナミを流れる道頓堀川を舞台にした水泳大会の開催計画を発表し、周囲の度肝を抜いた。
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街屋集団が企画
した道頓堀カヌ
ーツアーで、川
面から街並みを
観察しながら戎
橋周辺を下るカ
ヌーとボート
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大会は、〇四年の八月八日に若者や観光客でにぎわう戎(えびす)橋や日本橋周辺を会場に開催する。現在の道頓堀川は水泳ができるほどきれいな状況ではないが、開催期限を設定することで行政、市民、企業が三位一体となった河川浄化の取り組みを促進させるのが狙いだ。
同協議会に所属し須知会長が理事長を務めるNPO「大阪・水かいどう808」は今月十九日から二十一日の三日間にわたり、東横堀川で「東横掘川からのメッセージ」と題した水都再生イベントを開く。
昭和の近代化の波を受けて高速道路に「ふた」をされる格好になってしまった東横堀川を舞台にしたイベントで特別便での川巡りなどで川、歴史、地域、子供にスポットを当てる。
また、建築家やコンサルタントなどでつくるNPO「街屋集団」(大阪市中央区釣鐘町)は五月末に道頓堀川を下るカヌーツアーを行い、陸上からとは異なる目線で街を見て、街づくりのヒントを探った。
同会は街づくりに関心のある市民の親ぼくや交流、イベントを通じて市民の視点で街の在り方を考えており、カヌーツアーもその一環。水都再生が注目される中、川への関心の高まりが少しずつ形となって表われている。川と水が大阪の主役に返り咲く日は近い。
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大阪府のアドプト・リ
バー・プログラムで茨
木市を流れる佐保川の
美化作業に取り組む佐
保自治会のメンバー
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川を「養子」に アドプト・リバー・プログラム
住民による川へのアプローチ手法はさまざまだ。大阪府が本年度から本格実施している「アドプト・リバー・プログラム」は、自発的な地域活動を支援して河川の美化につなげる制度で、旧淀川流域など今後の広がりが期待されている。
「アドプト」とは「養子にする」の意味で、河川を養子、参加団体を里親に見立てている。地域団体、河川管理者、自治体の三者が美化活動の内容、清掃用具の貸し出し、清掃後のごみ処理の手法などについて協力・分担の内容を定めて協定を結ぶ。
淀川水系の大川など府が管理する河川が対象で昨年度から試行。今月末までに計九カ所で協定が結ばれる予定だ。
地域の特性や河川の形状などに合わせ、自由な形式で清掃活動を支援するのがプログラムのポイント。河川敷を使った地域の祭りに清掃活動を組み込んだり、花の栽培も同時に進めるなどの例も現われている。
府によると、府内の土木事務所の管内では、昨年度に三十五河川の六十八カ所で清掃活動が行われ、延べ三万八千人の市民らが参加。府民との共同で地域に愛される川づくりが進んでいる。
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道頓堀川で養殖する二
枚貝のイケチョウガイ
にできた淡水真珠を示
す須知会長。「川に関
心を向けてもらうこと
が大切」と強調する
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関心向ける「きっかけ」が大事
ふるさ都・夢づくり協議会 須地裕曠会長
市民団体の「ふるさ都・夢づくり協議会」は所属団体を通じて、まちづくりの推進、環境保全、子供の健全育成など幅広い分野で社会貢献活動に取り組んでいる。〇四年八月開催に向けて準備が進む道頓堀川での水泳大会や、近く始まる真珠貝の養殖などあっと驚く発想で知られる、同協議会の須知裕曠会長に川と水への思いを聞いた。
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ユニークな取り組みが多いですね。
「大阪を物事の中心にして活動しており、大阪しかないものをつくりたいと考えています。“アンチ東京”ではないのですが、例えば水泳大会ですが隅田川でやってもヒットしないと思う。道頓堀川だからいいんです。日本初、世界初で困難が予測されるものにしか興味がないということもあります。大阪が好きなんです」
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協議会の活動分野は幅広いのに川にかかわる取り組みが多く感じます。こだわるのはなぜですか。
「確かにずっと水や川ですね(笑)。大阪の地酒造りもしましたが、結果的には水ですね。でも、意図的ではなく自分の『根っこ』にあるものに手を付けてきたら偶然そうなった。私は十三の出身で、淀川や川土手が子供のころの遊び場でした。何度も川に落ちたりしましたがよく遊んだものです」
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これまでの活動を通して大阪の市民と川との関係をどう見ますか。
「大阪の市章は明治時代に『みおつくし』に決まりましたが、制定時の対抗馬は千成びょうたんでした。澪(みお)は水路、津は港のことです。強力なライバルを抑えてみおつくしを選んだということは『昔も今もこれからも大阪は水路水脈で成り立っている、やっていく』との気持ちの表われだったのだと思います」
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現在もそうなんでしょうか。
「大阪をひと言で表現するならどうかと尋ねられて、『大阪は水の都』という人は多いですが、言葉のフレーズだけで終わっていて大半は意識までには至っていない。河川の汚れが指摘され、行政は行政なりに一生懸命にクリーン作戦などに取り組んでいますが一向に良くならない。それはなぜか。みんなが関心を示さないからです。例えば水道の蛇口をひねれば飲み水が出て、別に川が汚れようが生活に支障はない。そう考えている人が圧倒的に多いのが現実だと思います」
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暮らしから川が遠くなっている?
「そう、関心がない。関心があれば基本的に川は良くなる。全員が生活の中で水に対する生活態度をちょっと変えるだけで劇的に良くなると思う。川に目を向けさせるきっかけづくりが必要です」
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協議会がこれまで進めてきた取り組みにもつながることですか。
「そうです。例えば水都再生基金が行っている道頓堀での真珠貝の養殖は、無料ではない。自分の懐からお金を出すことで道頓堀がその人にとって自分の川になる。ついこの前までは無関心だった人がお金を出すことで真珠貝がいる間、川に関心を持つようになる。水陸両用車を投入も同じです。運転していて市民のリアクションを見ていると面白いですよ。みんな驚く。わずかだとしても川に関心が向くようになる。それが大事なんです」