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府外から人材呼び込め 関東への転出超過を問題視

2017年4月19日

 東京一極集中を受けて大阪でも首都圏や府外からの移住を呼び掛ける動きがみられ、府の魅力と課題が浮かび上がっている。魅力として、生活環境面や都市部ならではの仕事のやりがいを官民連携で発信。課題では、フリーランスといった柔軟な働き方を受け入れる企業環境が不十分との見方もあり、対応が問われそうだ。

大学勤務とソフトウエア開発会社の勤務を両立させる西尾さん=大阪市北区
企業に常駐しながらプロジェクトに参加するフリーランスの宮尾さん(中央)=大阪市北区

 大阪府は2016年度、府から関東に毎年1万人程度の転出超過が続く現状を問題視。中小企業の人材不足も重なり、優秀な人材を確保しようと、都市から都市への移住モデルの構築を企画した。

 東京に比べて家賃が割安で通勤電車の混雑率が低いといった生活面をPR。職場体験などで府内の仕事の多様性ややりがいを伝える事業に取り組んだ。

 参加者からは好意的な意見が寄せられ、同事業を受託したNPO法人スマイルスタイル(大阪市西区)の担当者は「今後、働きがいのある職場をきめ細かく発信する仕組みが重要だ」と話していた。

■理解に遅れ

 「生活のしやすさは大阪の魅力」。東京を中心にIT技術者として活躍してきたフリーランスの宮尾潤さん(27)は2016年夏に大阪に移住した。家賃や通勤電車の負担軽減を喜ぶ。

 一方「大阪で働くのは思ったより苦労した」と振り返る。自身でも事業を手掛けているため、勤務日数を制限して働き口を探したが、多くの企業で正社員入社を求められた。

 最終的には、フリーエンジニア向けの仕事を紹介している「レバレジーズ」(東京)の事業を活用。今年からソフトウエア開発会社(大阪市北区)のプロジェクトに常駐型で参画している。自身の時間も確保できた宮尾さんは「企業に入って仕事をすれば自分の技術向上にもつながる」と意欲を見せていた。

 この企業の部門責任者(36)は「常駐型だとコミュニケーションも取りやすく、急に人手がいる場合に助かる」と歓迎している。ただ、レバレジーズの同事業を活用する5千社超のほとんどが首都圏の企業。大阪支店の部門責任者、高橋悠人さん(26)は「大阪ではフリーランスへの理解がまだまだ進んでいない。働きやすい環境を整えれば地域の発展にもつながる」と力を込める。

■副業の一手も

 職場環境では、副業を認めて人材を呼び込む手法も効果を見せている。ソフトウエア開発会社「サイボウズ」(東京)は、本業を持ちつつ同社で副業したい人を受け入れる採用方法を1月からスタート。大きな反響があり大阪オフィス(大阪市北区)では4月から大学非常勤講師の西尾陽平さん(28)が働く。

 大学の勤務時間外を有効活用しようと働き口を探していたが大手求職サイトでは見つからず、同社の副業制度を見て応募。「新しい知見を得られるのでうれしい」と笑顔を見せる。同社は「副業を認める企業はまだまだ少ないが、新しい技能を持ち込んでもらえる」と利点を示す。

 全国的に不足が見込まれているIT人材を含め、大阪が国内で選ばれる自治体になるための対策が官民共に求められている。