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人を生かす鍵 9種類の働き方導入、開発会社

2017年5月27日

 組織運営支援のソフトウエア開発会社「サイボウズ」の大阪オフィス(大阪市北区)は、東京本社や在宅の社員らと円滑に業務を行うテレワークの環境を築き、生産性の向上につなげている。制度、ツール、風土の三つの条件が人を生かす“鍵”。社内外で「チームワークあふれる社会の創造」に挑戦している。

「分報」の仕組みで円滑なコミュニケーションを図る酒井さん=大阪市北区

 同社は、働く時間と場所について9種類の選択肢を用意。「100人いれば100通りの働き方がある」との観点で、制度面の充実を追求してきた。過重労働で生産効率が落ちたり、子育てといった私生活の理由で優秀な人材が離職するのを抑止するためだ。

 自社製品を広め、「チームワークあふれる−」の理念の実現に役立つ場合は、随時新たな仕組みを構築。離職率は、最も高かった2005年の3割弱から10年で5%程度まで低下し、近年、売り上げは右肩上がりだ。

■「分報」で対話

 個々の事情に合わせた環境づくりでは、開発拠点を大阪オフィスで開設したのもその一つ。大阪開発部の岡田勇樹部長(34)が出身地での勤務を希望したのがきっかけだ。

 ただ、他の開発メンバーの多くが東京在住だったため、円滑なやりとりを実現するためのツールを試行錯誤。音と映像の質にこだわったテレビ会議をはじめ、インターネット上で運用する業務システム作成ツール「キントーン」が役立った。

 岡田部長が手掛けてきた自社製品で、登録者がそれぞれ書き込んだ内容を共有できる機能を活用。それぞれが小まめに動向を書き込む「分報」の制度を推進した。多い日には1人が1日40、50件書き込む場合もある。

 誰が何に取り組み、どれだけ進んでいるか、開発メンバーの動きが働く場所にかかわらず見えるようになった結果、業務管理が効率的になり、各社員が孤立せずにコミュニケーションを取れるようになった。

■一極集中打開も

 こうした仕組みの構築は、東京一極集中を是正していくヒントにもなっている。

 岡田部長とともに東京から大阪へ転勤したエンジニアの酒井康晴さん(31)は、妻の実家の近くに住めるようになったため、子育てがしやすくなった点を喜ぶ。自身も積極的に子育てに参加するため、週2日は在宅勤務を選択。「育児をしながらパフォーマンスを発揮できるのは魅力」と笑顔を見せる。

 サイボウズでは、在宅勤務を青野慶久社長が実践したのをはじめ、社員に体験させるなど多様性を認め合う風土を醸成してきた。

 岡田部長は「最も成果を上げられる場所で働ける仕組みが広がれば、各地域の活性化にもつながる」と意義を説いている。(加星宙麿)


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