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南北アクセス向上 「なにわ筋線」31年開業へ

2017年9月10日

 大阪の玄関口"キタ"が大きく変貌しようとしている。関西空港とのアクセス向上を図る梅田−難波を結ぶ新路線「なにわ筋線」の整備が動きだす。新大阪−梅田−難波−天王寺−関西空港といった大阪の中心部を南北に貫く交通網が構築され、再開発が進むキタエリア全体の魅力アップにつながる。

なにわ筋線開通で利便性向上が期待される南海「ラピート」(左)とJR西「はるか」

■大阪の成長

 2031年春の開業を目指すなにわ筋線は今年5月、JR西日本や南海、阪急、大阪府・市の5者が事業計画で大筋合意に至った。

 「関空へのアクセスが向上し、都市開発の促進に大きく貢献する。大阪の成長に不可欠な鉄道ネットワーク」と位置付けるJR西。関空特急「はるか」を大阪環状線経由で運行するが、環状線の過密ダイヤが影響し、迅速な輸送ができないもどかしさを抱える。整備により、国土交通省の試算では所要時間を20分以上も短縮できるとされる。

 なんば駅止まりの南海も新たな顧客獲得のチャンスとなる。北梅田駅からJR線を利用して新大阪駅への接続も想定しており、「一つの路線で結ばれることでなんばエリアや沿線の魅力が増す」(南海広報)と相乗効果に期待する。

 従来、訪日外国人(インバウンド)の多くは関空から大阪中心部に入っているが、キタへのアクセスが悪く、流れはミナミで止まっていた。キタは東西南北4方向からの“交差点”となり、大阪観光局の野口和義専務は「ミナミから入った人のゲートがキタに移る。玄関がもう一つできるとも言える」と将来を見据える。

■都市の成熟

 「大阪発展のスタートライン。なにわ筋線はその象徴」。関西経済同友会の鈴木博之代表幹事(丸一鋼管会長兼CEO)も息巻く。湾岸部の人工島「夢洲(ゆめしま)」への統合型リゾート施設(IR)整備や37年に迫ったリニア中央新幹線の延伸などを背景に、「風向きが変わった」と大阪経済の転換期と捉える。

 新たな公共交通の整備は、市民生活も変える。なにわ筋線がもう1本の南北軸となることで、市営地下鉄御堂筋線の慢性的な混雑緩和も期待。通勤圏内も拡大し、南海やJR阪和線沿線の再開発にもつながる。

 追手門学院大地域創造学部の佐藤友美子教授は、人の移動が活発化することで「都市の面的な広がりにも貢献する」と指摘。沿線に訪日外国人を呼び込むには、変化する旅の業態や目的に適応した都市開発が重要とし、「人が訪れたくなるまちを形成するなど、開業を機に都市の成熟が求められる」と提言する。

阪急、新路線を検討 北梅田〜十三間

  「なにわ筋線」整備に関連し、阪急電鉄は北梅田−十三間に新たな路線を敷設する検討を始めた。実現すれば、十三を拠点に関空と難波、京都、神戸を私鉄だけで結ぶルートが誕生する。

 新線は「なにわ筋連絡線」。JR西日本が整備する北梅田駅から、地下路線で十三へとつなぐ。大阪府・市や鉄道各社は「なにわ筋線の整備効果を一層高めるため、国と連携して整備に向けた調査・検討を進める」ことで合意。阪急内部でも具体化を急いでいる。

 整備後は、南海と阪急の共同運行で関西空港−十三間の直通列車が可能になる。大阪市は「私鉄の広域的ネットワークが形成される」と効果を指摘。阪急には十三−新大阪間の新線建設構想もあり、十三経由で関空と新大阪を結ぶルートの確立も視野に入れる。

 訪日外国人に人気の難波、京都を直結するルートが誕生し、阪急広報は「関西全体の交通網が強化され、利便性が高まる。需要予測や技術的な課題などを前向きに検討していく」と強調。南海も「北梅田以北は阪急(で新大阪に乗り入れる)ルートも想定される。具体的な内容を詰めていく」としている。

ミニクリップ

 なにわ筋線 JR大阪駅北側に現在建設中の北梅田駅(仮称)からJR難波駅と南海新今宮駅を結ぶ約7キロの路線。総事業費約3300億円。関西空港へのアクセス特急「はるか」と「ラピート」を運行するJR西日本と南海電鉄をはじめ、大阪府・市、阪急電鉄の5者による第3セクターが、敷設・管理する上下分離方式で整備する。区間内には中之島(仮称)、西本町(同)、南海新難波(同)の3駅を新設。関西空港から難波、中之島、梅田を経由して新大阪を直結する大動脈になる。