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冤罪 無くす力に 「ママは殺人犯じゃない」出版

2017年9月13日

 愛娘(まなむすめ)殺しの汚名を着せられた冤罪(えんざい)の母親、青木恵子さん(53)が無罪判決を勝ち取るまでの21年間をつづった単行本「ママは殺人犯じゃない 冤罪・東住吉事件」を出版した。最高裁で無期懲役判決を受けるなど青木さんは「いくら無実を訴えても分かってもらえない」警察や司法に何度も絶望しながらも、息子や支援者に支えられながら再審で完全無罪を勝ち取るまでの赤裸々な苦闘の姿を描いている。

「天国にいる娘に供養としてこの本をささげます」と話す青木さん

 この事件は1995年7月22日、大阪市東住吉区で青木さん宅から出火し、青木さんの長女めぐみさん(当時11歳)が焼死。警察はこの事故を青木さんと当時の内縁の夫による保険金殺人事件として立件、2人は無期懲役判決が確定して服役。青木さんは一貫して無実を訴え、2016年8月10日、車から漏れたガソリンの引火が火災の原因と証明され、完全無罪判決が出た。

 本は和歌山刑務所で娘殺しの汚名をそそぐまでの21年間に書いた獄中日記と支援者が発行していた「ひまわり通信」から構成した闘いの記録。

 著書は青木さんがつづった「事故が事件にされるまで」「和歌山刑務所から」と、青木さんを支援し冤罪事件に詳しい関西大社会学部教授の里見繁さんが解説した「雪冤(せつえん)への歩み」の3部構成。

 青木さんは95年に愛娘を失ったショックで体調を崩すなか逮捕された。取調官からは「お前がやったんやろ。なぜ、娘を助けなかった」と執拗に責められ、「あんたの息子が放火を見ていた」などとうその証言で何度も自白を強要されたという。

 青木さんは怒鳴られるなどの恐怖と絶望感の中、「取調官に指示されるまま、犯行を認める書面を書いてしまった」と話す。裁判では「一貫して無罪を主張した」が、06年に最高裁で無期懲役が確定した。何度も絶望感に襲われたが、当時10代の長男の「お母さんの無罪を信じている」という言葉と「天国にいる娘のためにも無罪を証明するまで闘う決意をした」という。

 完全無罪を勝ち取った今も、「私が冤罪に追い込まれたようにいつ一般市民が巻き込まれるかもわからない。逮捕された時に法律の知識を持っていれば、うその自白に追い込まれることはなかった」と話している。インパクト出版会。四六判、205ページ、1944円。


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