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12都道府県に拡大 大阪発 自販機「傘貸し出し」

2017年9月21日

 急な雨に手持ちの傘がなく、泣く泣く傘を購入。気が付けば、自宅にビニール傘が何本も−。同じような経験をした人は多いはず。傘を忘れがちな人に耳寄りな話がある。大阪市の大手飲料メーカーが自動販売機の横に傘を備え付けて無料で貸し出すサービスを展開している。“大阪発”の取り組みは高い返却率に支えられて定着し、全国各地へとエリアを拡大している。

貸し出し傘が備え付けられている自販機=大阪市中央区

 サービスを提供しているのは、大阪市北区のダイドードリンコ。2015年10月に大阪市内にある60台の自販機の横に貸し出し用ラックを導入したのを皮切りに、傘の使用頻度が高い地域に拡大。現在は12都道府県の380台に広がっている。

■社会貢献

 ラックには傘が7本入っており、使用後は返却してもらうルール。貸し出し用の傘は、ダイドーのロゴ入りビニール傘が7割、鉄道会社の忘れ物の傘にロゴを縫い付けたものが3割という。

 関西では近畿日本鉄道、関東では西武鉄道(埼玉県)と東京急行電鉄(東京都)、愛知県では名古屋鉄道(名古屋市)が傘の提供元として協力している。

 ダイドードリンコ広報・CSRグループの梅垣真哉アシスタントマネジャーは「社会貢献を目的に始まった活動。傘にロゴを入れたのも借り物の傘だと認識してもらう目的で、自販機の売り上げアップは考えていない」と控えめに語る。

■設置場所

 気になる返却率は、同社がサービス開始から4カ月間のデータを取った結果、平均70%以上と高かった。

 府内でも傘の無料提供や貸し出しは少なくない。関西空港では、捨てられた傘のうち使えそうな傘を利用者に自由に持ち帰ってもらっている。しかし、北海道函館市で16年3月から行われていた傘の無料貸し出しサービスが、傘がほとんど返却されないことを理由に1年間で廃止されるなど、長続きしない地域があるのも事実だ。

 総務省統計局の調査結果によると、近畿地方の府県庁所在地の1世帯当たりの傘の年間購入平均額は488円〜918円。大阪市は近隣府県と比べても高く、傘の貸し出しが歓迎される土地柄だといえる。

 同社によると、返却率は観光客らの往来が多い路面では低く、ビルの中などある程度限られた人が利用する場所では高かった。梅垣マネジャーは「基本的に繁華街には置かないが、利用頻度の低い自販機に置いてもあまり意味がない」と設置場所の難しさも明かす。