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2017衆院選大阪 貧困のはざまで(上)

2017年10月17日

 週末の正午すぎ、大阪市西成区中開の市営住宅の一室に、「こんにちは」と土曜授業を終えた近隣の小学生らが集まってくる。木製の積み木で遊ぶ子やビニールのテントに入る子など、食事ができるまでの時間を思い思いに過ごす。「にしなり☆こども食堂」のいつもの光景だ。

寄付された食材で子どもたちの食事の準備を進める「にしなり☆こども食堂」のメンバーら=大阪市西成区

 集う子どもたちの事情はさまざま。中には経済的に苦しい生活環境のケースもある。支えているのは地域住民やボランティア。午前中から食事の下ごしらえに取り組む。鶏肉と魚の唐揚げ、ピーマン、ブドウなどが彩りも豊かにおそろいの白いトレーに盛られていく。

 この日は「栄養士を目指していて食育に関心がある」「ゼミで貧困問題を学んでいる」など、三つの大学から4人の学生もボランティアとして参加。積極的に子どもたちに声を掛けて一緒に遊び、子どもたちもうれしそうな表情だ。

■命と心を元気に

 段ボール箱いっぱいのキャベツを寄贈してくれたのは、同市浪速区在住の男性。「仕事で前を通るので」とさまざまな野菜を提供している。「ロールキャベツにするわ」と応える同食堂を運営する川辺康子さん。「本当にありがたい。最近はふるさと納税で、食材を寄付してくれる人もいる」と感謝する。

 「ごはんが命と心を元気にしてくれる」と、2014年からこども食堂の活動を続ける川辺さんを中心に、さまざまな人たちが子どもたちの居場所をサポートしている。

 西成区役所も今年4月から、こども食堂の支援事業をスタート。新規開設の補助やネットワーク化をサポートしている。同区のこども食堂は、六つの中学校区をカバーするまで拡充。将来的には「11の小学校区に一つずつできれば」(同区子育て支援担当課)と話す。

■自分のことに

 大阪市が4月に公表した「子どもの貧困」に関する実態調査によると、市の相対的貧困率(小5・中2のいる世帯)は15・2%。相対的貧困は、全世帯を可処分所得の順に並べた際の中央値の半分以下で生活を強いられている状態で、市の中央値は238万円。母子世帯では相対的貧困が53・3%に上っている。

 川辺さんは「教育無償化もいいが、まずは現場の声を聞きに来てほしい。いろんな人が来てくれるが政党はどこも来ない。自己責任論は置いといて、目の前の子どものしんどさを、自分のこととして考えて」と訴える。

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 憲法や消費増税、原発や北朝鮮対策、経済政策などが主な争点として浮上している今回の衆院選だが、格差の広がりなど地域で顕在化しながら、あまり語られていないテーマもある。子どもの貧困と孤立する生活困窮者の問題を大阪市西成区の現場から報告する。