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2017衆院選大阪 貧困のはざまで(下)

2017年10月18日

 大阪市西成区の北東部、通称・釜ケ崎と呼ばれる地域。役所や警察など公共機関は「あいりん地区」という名称を使用しているが、この商店街の中に「ゲストハウスとカフェと庭 ココルーム」はある。カフェは35のベッドを配置したゲストルームのほかに、空の見える開放的な庭。不思議な空間に、日雇い労働者や元日雇い労働者の「釜のおっちゃん」に加え、外国人旅行者や学生、研究者などさまざまな人が出入りする。

さまざまな人が集まるココルームの食卓=大阪市西成区(ココルーム提供)

■助けを求めて

 「とくさん、こないだはありがとう。今度、庭の綿から種を取るのを手伝ってくれへん?」とおっちゃんに頼むのは、ココルームを運営するNPO法人「こえとことばとこころの部屋」代表で詩人の上田假奈代さん。「ええよ、あした朝6時ごろにこよか」とやる気満々のおっちゃんに、「そんなに早くなくてもええよ」と笑う。

 ココルームには助けを求めて来る人も少なくない。最近では、腰を痛めて施設に入るように言われたが「働いてアパートで暮らしたい」という50代の男性や、親に出て行けと言われて「西成に行けば何とかなる」と大分県から来阪した23歳の男性も。

 ネットワークを生かし、上田さんは仕事や宿泊先を探して支援する。50代の男性は軽作業の仕事が見つかり、アパートも確保。23歳の男性は祖母から連絡があり、大分へと戻った。

 上田さんは「(釜ケ崎には)福祉、医療、まちづくりとさまざまな課題がある。多様なプレーヤーが関わることが大事で、調整役になるところが必要」と、行政にはコーディネーターの育成を要望する。

■孤立の果てに

 「貧困と地域 あいりん地区から見る高齢化と孤立死」の著書がある関西学院大の白波瀬達也准教授は、警察データから「高齢者の在宅死の急増」を危惧する。

 日雇い労働者などが集まり、低所得者が多い釜ケ崎。白波瀬准教授は「緊急時に支援者がいない人が多い。社会的孤立や孤立死をテーマに設定し、当事者の参加を促すことが重要」と強調する。

 「低所得で家族関係が希薄な人たちが、この町だからこそ暮らしていけるという状況がある。町が変わることは必要だが、その人たちへの配慮がいる。1平方キロ未満の狭いエリアで、年間数百人規模で亡くなっている。孤立死への対応がほとんどない」と訴える。

 豊かさの継続・発展が叫ばれる一方で、社会的な格差は依然として横たわっている。光と影の差をなくすことが、政治の役割でもある。