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広がる「社員紹介採用」 定着、採用費削減で効果

2017年12月4日

 人手不足の中で人材を呼び込もうと、社員が応募者を紹介する「社員紹介(リファラル)採用」が広まっている。入社後の定着や採用費の削減につながるのが利点とされる。中途採用で活用されているほか、内定者が後輩を誘う新卒採用向けの試みも繰り広げられている。

ウィルグループの説明会で後輩の作業を応援する内定者(中央の2人)=大阪市中央区

 人材サービス会社「エン・ジャパン」が、中途採用支援サイトの利用企業を対象に調査したところ、回答のあった501社のうち6割余りが社員紹介採用を実施。定着や活躍につながりやすいとの理由が6割に上った。

■ギャップ小さく

 ソフトウエア開発会社「フェンリル」(大阪市北区)は、慢性的な人手不足の中で2014年から制度化。採用が決まれば、紹介者に一律の金額を支給している。エンジニアやデザイナーを中心に計60人程度の紹介があり、約半数が入社した。

 紹介を経て入社したウェブ共同開発部の鍋良舞さん(26)は「知人から事前に企業風土や仕事内容を聞けたので、入社後、イメージとの差にほとんど悩まなかった」と明かす。

 紹介者側にも利点があり、ブランディング部のエンジニア、真谷勇史さん(33)は「気兼ねなく仕事や趣味について話せる人ができたのはありがたい」と喜んでいる。

 制度が離職しにくい環境づくりに役立っているとみられ、総務人事部の橋本進一郎部長(45)は「公募採用に比べて定着は良く、活躍もしている」と評価している。

 一方、エン・ジャパンの調査では、応募者の不採用や入社後の離職が、紹介者に心理的負担を与えないか懸念する声もあり、同社人財戦略室の豊田雄大マネジャーは「社員の知人だからと採用基準を甘くしないのが重要」と指摘する。

■学生間で「気軽」

 新卒採用にも「社員紹介」の発想を導入したのが、人材サービスを手掛ける「ウィルグループ」(東京)。内定者の有志が後輩を誘って会社の魅力を伝えるプロジェクトを、16年度から実施している。

 19年3月卒の学生向け説明会には、東京と大阪で1500人の参加を目標に展開中。11月に大阪市内で開いた際には、大学3年の約40人が出席し、六つの班に各1人の内定者が付く形で臨んだ。

 内定者らは、社風や挑戦する姿勢の大切さを啓発。関西大3年の男子学生(20)は「一つ上の先輩なので企業の方よりも気軽に話ができた」と手応えを感じていた。

 プロジェクトは、内定者に仕事への理解を促し、内定辞退を防ぐのも狙い。摂南大4年の立花朋寛さん(23)は「相手から話を引き出す工夫をするようになった」と成長を実感し、近畿大4年の小南徹弥さん(21)は「内定期間中に仲間たちと切磋琢磨(せっさたくま)したい」と意欲を示す。

 同グループは、求人媒体に頼らない採用手法を模索する中で内定者に着目。応募を待つだけでは出会えない学生と接点が持てたり、採用費の削減にもつながり、同グループ採用戦略部の前田駿平マネジャー(28)は「リファラル採用の割合を高めていきたい」と展望を示している。