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訪日客 踏切トラブル 多言語案内で危険周知

2017年12月8日

 訪日外国人客(インバウンド)が日本の公共交通のルールが分からず、トラブルに発展するケースが起きている。JR西日本は訪日客が多く利用する阪和線日根野駅(大阪府泉佐野市)脇の踏切遮断機に、3カ国語で電光掲示板を設置。南海電鉄は駅構内のエスカレーターで発生する荷物の落下防止を呼び掛ける多言語アナウンスを始めるなど、鉄道事業者の安全対策が進んでいる。

3カ国語による音声アナウンスと電光掲示板表示(右上)で注意を呼び掛けているJR日根野駅近くの踏切=大阪府泉佐野市

 4線区間26・5メートルの長さがある日根野駅南側の踏切。警報音と共に聞き慣れない言葉が次々と耳に入ってくる。「危険。止まるな、進め」。英語、中国語、韓国語の3カ国語による自動音声だ。

 遮断機のそばに設けられた電光掲示板(縦20センチ、横100センチ)にも同様のメッセージが絶え間なく流れる。踏切の内側にも掲示板は設けられており、「棒をくぐって出ろ」との表示。遮断棒が降りて踏切内に閉じ込められた際の脱出法を音声とともに指示している。

■立ち往生

 日根野駅は関西空港駅からわずか2駅。近隣には訪日客向けのホテル、飲食店、大型商業施設などがあり利便性は高い。

 半面、懸念もある。JR西によると、この踏切では警報が鳴り始めてから横断を始めたり、踏切内で立ち止まったりする事案が毎月1件程度、報告されているという。大事故につながりかねない事態を重く受け止めたJR西は5月、約800万円をかけ、掲示板4基と音声アナウンス設備を整備。訪日客への踏切利用時のルール周知に動いた。

 近くでうどん店を営む川合裕人さん(51)は、遮断棒が下りてから横断する外国人を幾度となく目撃したが、設置後は「遮断棒をくぐってまで渡る人は見かけなくなった。啓発の効果があったのでは」とみる。

 JR西の担当者は「警報が鳴った際は踏切の外に急いで出ないといけない、という認識がない。そういう文化がないのかもしれない」と推察。実際、香港から旅行で訪れた王麗娟(ウォンライクイン)さん(59)は「故郷に踏切はない。列車が通るところを人が通るようにはなっていない」と踏切になじみがないことを指摘。「アナウンスや表示があると助かる」と話す。

■年60件超

 旅行必需品のスーツケースやキャリーバックが旅行者の安全を脅かす事案もある。南海電鉄では、関西空港駅内のエスカレーターからスーツケースなどの落下を防ぐため、エレベーターの使用を呼び掛ける多言語によるポスターやアナウンスに努める。

 同社によると、エスカレーターにおける荷物の落下は毎年度60件以上発生しており、中には救急車が出動するケースも。数年前からは大きな荷物がある際はエレベーターを利用するよう、英語、中国語、韓国語、日本語の4カ国語による注意喚起ポスターや床面の誘導サイン、音声アナウンスに着手。旅の安全を守るには「多言語での交通マナーの周知は必要だ」(同社広報)との認識を示す。