大阪ニュース

オペラ「チェネレントラ」主役 脇園彩 大阪デビュー

2018年1月11日

 イタリアを拠点に活躍するメッゾソプラノ、脇園彩が5月、大阪市北区のフェスティバルホールで上演されるロッシーニ作曲オペラ「チェネレントラ」に出演する。童話の「シンデレラ」を基にした喜歌劇で、脇園は主役のアンジェリーナ役を「ステレオタイプのお姫様ではなく、今の時代でも共感できる、そこにいる人物として演じていきたい」と大阪デビューに臨む。

「自然に逆らわず、家族や食を大事にしてシンプルに生きている。そういう生き方こそ幸せへの近道だという考えにすごく共感する」とイタリアをこよなく愛する脇園彩=大阪市内

 東京出身で東京芸大大学院修了後、2013年文化庁新進芸術家海外研修制度研修員としてイタリアに渡る。パルマ国立音楽院を経て、ミラノ・スカラ座研修所修了。14年「ランスへの旅」のメリベーア侯爵夫人役でイタリアデビュー。同11月に「ラ・チェネレントラ」(短縮版)のヒロインでスカラ座デビューし、以降イタリアを中心にヨーロッパでめざましい活躍をみせている。

 「チェネレントラ」の初演は1817年のローマ。今回は2008年イタリアのベルガモ・ドニゼッティ歌劇場「La Piccola Cenerentola」のプロダクションをフル・バージョン改訂して上演する。演出はフランチェスコ・ベッロット、指揮は園田隆一郎、合唱は藤原歌劇団合唱部、管弦楽は日本センチュリー交響楽団。

 男爵ドン・マニフィコ(谷友博)の城で、クロリンダ(光岡暁恵)とティズベ(米谷朋子)の姉妹にいじめられている継子のアンジェリーナ。しかし優しさと強い心で恋をつかみ、ラミーロ王子(小堀勇介)と幸せになる。言わずと知れたシンデレラストーリーを、「現実的で合理的な考えをするロッシーニはカボチャの馬車など非現実的なものを出さない」(脇園)でオペラにした。

 「ロッシーニには普遍的なセンスを感じている。おとぎ話というと遠い世界に感じ、ヒロインも作られたイメージがあるが、アンジェリーナはそこにいそうな女の子で独立心が強い」と分析する脇園。1幕フィナーレの「私が私の力で幸せをつかんでいくという決意表明をするシーン」が「音楽的にも好きだし言葉の重要性としても大事なシーン」という。

 脇園は短縮版のほか、16年にヴェローナのフィラルモニコ劇場でもアンジェリーナ役を務めている。ほか「ランスへの旅」や「セビリャの理髪師」「試金石」「イタリアのトルコ人」などロッシーニ作品に多く取り組んできた。

 「ロッシーニの喜劇は、見た人すべてを幸せにするような魔法が内包されている。ヒロインは共通して心の強さがあり、彼女たちからたくさん学んだ。難しい状況に置かれても嘆かないで自分で何とかしようと策を練る。誰を傷つけることもせず前に進む、ひたすらポジティブなところを尊敬している」

 聡明(そうめい)で明るい脇園だが、時には家にこもってもがいた時期もあったという。役とともに鍛えていった歌力と精神力で、着実に道を開いてきた。

 今プロダクションでの出演は大阪公演のみ。「大阪の方々の前でエネルギーの交換をさせていただくことを、とっても楽しみにしている」と笑顔をはじかせた。

 ほか配役は従者ダンディーニに押川浩士、家庭教師アリドーロに伊藤貴之。12日午後2時開演。S席1万2千円、A席8千円ほか。問い合わせは電話06(6231)2221、ホールチケットセンター。