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変わる新今宮 「庶民のまち」未来図注目

2018年1月15日

 「観光客のための都市ホテル」「外国人就労マッチング拠点」といった新たなコンセプトの施設進出が、大阪市浪速区の新今宮駅前に計画されている。東側にはジャンジャン横丁や通天閣でにぎわう「新世界」があり、南の西成区側には「日雇い労働者のまち」として知られる「あいりん地区」(通称・釜ケ崎)が隣接する地域。近年は、労働者の高齢化により「福祉のまち」と変貌する一方で、外国人観光客の姿も増えた。「庶民のまち」の新たな変化に不安と期待が交錯する。

星野リゾートが新今宮で計画するホテルのイメージ(星野リゾート提供)
外国人就労マッチング拠点のイメージ図(南海電鉄提供)

 同地域は関西空港と直結する南海本線とJR大阪環状線の新今宮駅に加え、地下鉄御堂筋線、堺筋線が動物園前駅で交差する交通の結節点。乗り換え客は多かったが、再開発の遅れもあり、地域の活性化にはつながっていなかった。

■大阪らしさ

 大きな注目を集めたのは2017年3月の大阪市の発表。新今宮駅前の広さ約1万4千平方メートルの市有地をホテル運営の「星野リゾート」(長野県軽井沢町)の子会社へ売却すると明らかにした。

 ホテルは608室の客室を備える20階建てを予定しており、広大な敷地には緑の広場を計画。22年3月までの開業を目指す。

 星野リゾートの星野佳路社長は同地域について「大阪でしか体験できない風景や文化にあふれている。どの店でも大阪弁で語り掛けてくれる風情がある」として誘客に自信を見せる。

■イメージ刷新

 昨年11月、今度は新今宮駅北東側に「日本で働きたい外国人と日本企業の人材マッチング拠点」を創出すると南海電鉄が発表した。

 同社は約4800平方メートルの敷地を取得し、さまざまな国の料理を楽しめるカフェや外国語教室などによるコミュニティーサロン、トイレ・シャワールームを全室に完備したゲストハウスの開設を計画。コミュニティーサロンが災害時の避難所となることを想定した備蓄倉庫やバスの駐車場も設ける。

 19年9月の開業を予定しており、同社都市創造本部開発部は「人手不足に対応するととともに、関空から直結する鉄道のハブである点を生かし、新今宮のイメージを刷新したい」と意気込む。

 一方で、駅南側の西成区では12年から大阪市による再開発プロジェクト「西成特区構想」が進められてきた。

 同構想に関わり、あいりん地区を調査した「貧困と地域」の著書がある関西学院大の白波瀬達也准教授は「(同構想のように)ジェントリフィケーション(再開発によって地価が上昇し、貧困層が居住できなくなる現象)に配慮しながら、新しい動きをどう取り入れていくかが大事」と話す。

 大きく変貌しようとしている新今宮駅前の地域。今後の動きに目が離せない。