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訪日外国人客向け 荷物預かりサービス始まる

2018年2月3日

 大阪府を訪れる訪日外国人客が初めて年間1千万人台を達成する中、荷物を預かるホテルやコインロッカーの不足が課題となっている。大阪市内の千日前通りや戎橋筋など大阪ミナミ周辺を歩くと、スーツケースを引いて歩く外国人客が目に付く。一部店舗では荷物預かりサービスも始まっている。

観光に出掛ける前に「ええ庵」に荷物を預ける韓国人客の家族=大阪市中央区

■民泊客の需要

 大阪観光局によると、2017年に府内を訪れた外国人客は過去最多の約1111万人。円安傾向が続いていることや、関西国際空港発着の格安航空会社(LCC)の便が増便したことなどを背景に、東アジアの国・地域を中心に順調に伸びてきている。

 16年10月に「特区民泊」が先行解禁となった大阪市内では、外国人客の2割が民泊を選択しているとされる。ホテルと違い荷物を預けることができないため、日中もスーツケースや旅行かばんとともに観光しているのは民泊利用者とみられる。

 同市中央区の黒門市場の近くにある観光案内所「ええ庵」は、荷物預かりの草分け的な存在だ。16年5月に開店。周辺の民泊事業者と提携し、物件の鍵の受け渡しや観光案内などを行い、事業者と外国人客の仲介役を担ってきた。

 ええ庵チーフマネジャーの山口エリック剛さんは「マンションの一室を貸し出す民泊では、ホテルで言うフロントがない。荷物預かりも民泊のサポートを考える中で始まった」と説明する。

 ええ庵には1日当たり平均30人が訪れる。荷物はスーツケースで100個前後まで預かり可能。料金は大きさによって500円か千円。会員制交流サイト(SNS)でサービスを発信してくれた利用客、旅行閑散期などには割引もしている。

■写真スタジオ

 荷物を預けたい人と預かる店を結ぶ新たな試みも始まっている。昨年1月に東京都内で始まり、同5月に大阪にもエリアを拡大させた「ecbo cloak(エクボ・クローク)」は、スマートフォンで近くのカフェや美容院など事前に登録された店舗を選び、荷物を預けることができるサービスだ。

 外国人観光客も多く訪れる南堀江エリアの写真スタジオ「スタジオブリッジ」(大阪市西区)もエクボ・クロークへ登録し、今年1月初旬から荷物預かりを始めた。

 荷物預かりの利用実績はないが、同スタジオ運営会社の川中輝樹代表は「外国人客向けに何かできないかを模索している。荷物預かりをきっかけに、写真撮影やスタジオ利用に結び付けばと考えた」と登録の狙いを語る。

 同スタジオのカメラマンは、神社仏閣などの写真を写真共有アプリ「インスタグラム」で発信。閲覧した外国人から「観光に行くので写真を撮影して」とオファーを受け、大阪市内で撮影したこともあり、同スタジオは需要はあるとみている。

 ただエクボ・クロークの加盟店によると、「月に1回利用があるかないか」(ゲームセンター)、「まだ1件しか利用がない」(不動産会社)と周知不足の指摘もある。ええ庵の山口さんは「荷物預かりを起点に、外国人客を取り込むのは面白いサービス。認知されれば利用は進むはずだ」と分析している。