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暗闇で愛語り合う ダイアログ・イン・ザ・ダーク

2018年2月12日

 暗闇の中、視覚障害者の導きでさまざまなシーンを体験する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」の国内唯一の常設会場「対話のある家」(大阪市北区)が、間もなく開設5周年を迎える。3月26日までは“愛”を語り合うプログラム「LOVE IN THE DARK」で、他者との絆の大切さを再認識できる機会を提供している。初の暗闇体験に赴いた。

アテンドしてくれた辻岡恵子さん。暗闇の中で最も頼もしい存在だ=大阪市北区
見て触れて楽しめる「対話のある家」の展示コーナ

 ひとかけらの光も見えない真っ暗闇で、見知らぬ人とちゃぶ台を囲む。声とぬくもりを頼りに距離感を計りながら語り合っていると、非日常の時間と空間を共有する他人が身内のように思われてきた。

■日本唯一の常設

 「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」は1988年にドイツで生まれ、これまで世界41カ国以上で開催されている“暗闇のソーシャルエンターテインメント”。「対話のある家」は積水ハウスの情報受発信拠点「SUMUFUMULAB(住ムフムラボ)」内にあり、ダイアログ・イン・ザ・ダーク・ジャパンとの共創で展開している。

 開設以来、家族や暮らしに焦点を合わせた独自のプログラムを用意。第20回となる今回は、バレンタインデーなどのイベントにちなんで、“愛”をテーマとしたプログラム「LOVE IN THE DARK」を実施している。

■心強いアテンド

 6人までのグループ単位で行う、約70分のプログラム。1人参加も可能で、「初めまして」の人らと、まずは薄明るい部屋でアテンドの“けいたん”から白杖の使い方を教わる。頼りの聴覚を活用するためにも「いつも以上におしゃべりになって」とアドバイスを受ける。

 そして真っ暗な「対話のある家」の玄関を開けて、皆で“帰る”。完全に光が遮断されたとたん、急に恐怖が増したが、“けいたん”らが手を取って励ましてくれ、何とかかんとか靴を脱いで居間らしきところへ進み少し探索する。落ち着いたところで、ちゃぶ台を囲んで“愛”について語り合う。暗闇なので恥ずかしさも多少緩和される。

 「明るい世界では『助けて』とか『ありがとう』とか、素直に言えていないことに改めて気が付く機会になると思う。人の温かさをより考えられ、そして自分のことも知ることができる」とけいたんこと、辻岡恵子さん。大人になって視力を失い、開設以来アテンドを務めている。いわば暗闇の“プロ”で、大変心強かった。

■気づきの体験

 体験者からは「雑念が消え、集中力が高まり、夢のある世界になった。ぜひ、若い人に経験してほしいと思った」(75歳男性)、「胸の中にささやかな、言葉にできない明かりがともるような感覚だった」(28歳女性)などの感想が寄せられている。

 視覚が遮断される怖さ、それを素早く取り除いてくれる人のぬくもり、触れ合う安心感、視覚以外の感覚の有効性、発話の大切さ…。さまざまなことに気付かされた貴重な体験となった。

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 予約制で参加費は大人3500円、学生2500円、小学生1500円。未就学児不可。問い合わせはフリーダイヤル(0120)292704、事務局(午前11時〜午後6時、土日祝日除く)。