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映画「家族はつらいよIII」 山田洋次監督に聞く

2018年5月17日

 松竹の人気シリーズ第3弾「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」が25日から大阪ステーション シティシネマほかで公開される。山田洋次監督  (86)の新作で、今回は「家庭の主婦をたたえることがテーマ。男は後ろめたいところがあるはず」という山田監督に話を聞いた。

「家族の話のテーマはまだいくつもある」と話す山田洋次監督=大阪・福島のABCテレビ
(C)2018「妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII」製作委員会

 第1弾「家族はつらいよ」は2016年に発表。「男はつらいよ」シリーズの山田監督にとって、それに変わる新シリーズとして翌年に「同2」、今回の「同III」につながった。その原点は小津安二郎監督の名作「東京物語」(1953年)をリスペクトして山田監督が撮ったリメーク作「東京家族」(2013年)で、そのとき家族を演じた8人の俳優が再結集している。

 「俳優さんたちがもう一度同じメンバーで別の作品をという声が挙がった。アイデアマンの蒼井優ちゃんから『夫婦でも死んだら同じ墓に入りたくないという』という話が出て、それをモチーフに第1作を作った。テーマとしては『熟年離婚』。同じようにして2作目は『無縁社会』をそれにし、その撮影が終わるころ3本目のテーマを『主婦への賛歌』と決めた」

 平田家の家族は4夫婦が中心になっている。周造(橋爪功)・富子(吉行和子)、幸之助(西村まさ彦)・史枝(夏川結衣)、金井成子(中嶋朋子)・泰蔵(林家正蔵)、庄太(妻夫木聡)・憲子(蒼井優)がそれで、長男夫婦に2人の子どもがおり、長女夫婦と次男夫婦は別所帯。問題を起こすのは大体、おじいちゃんの周造というのが通例だが、今度は長男が物議をかもすことに。

 「1、2本やってきて、家族を守っているのは主婦の女性陣で、大体、男は身勝手。私自身の個人的な後悔というか、ざんげも込めて物語を作った。平田家の両親、夫、子どもたち全部の面倒を見ているのは長男夫人の史枝さん。彼女が家出すると、家族全員がうろうろしてしまう」 家で史枝が1人でウトウトしているとき、泥棒(笹野高史)に入られ、彼女が冷蔵庫に隠していたへそくりを盗まれてしまう。これに対し周造は「それは俺が稼いだ金のはずで、へそくりするとはけしからん」という話になる。「それは男の理屈で、そういわれる奥さんがかわいそう。毎日家族の食事、子どもの弁当を作っている。洗たく、掃除もある。日常世話になっている妻に、夫の言い分はほとんど通用しない」

 史枝は悔しくて、家を飛び出す。彼女は以前からフラメンコを習いたいと思っていて、家出の道すがら教習所で踊りを習っている場面を夢想する。「世の中ギスギスして、家族の崩壊も多い。こんな時だから、家族がお互いに思いやらなければと思う。セクハラ問題などもそうだが、根本は男社会に問題がある。映画を見て笑いながら、共感してもらえたらうれしい」