大阪ニュース

カジノ法案衆院委可決 賛否両論の大阪府内反応

2018年6月16日

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案は15日、衆院内閣委員会で与党などの賛成多数で可決された。IRの誘致を進める自治体の中でも有力候補とされる大阪では、「国際観光都市として発展するために必要不可欠」や「家族が苦しめられる」など、賛否両論さまざまな声が上がった。

大阪府・市がIR立地の候補地とする大阪湾岸の人工島「夢洲」。ギャンブル依存症対策などの課題が指摘されている=大阪市此花区

■関連ビジネス

 IRを中心にゲーミングや観光などを研究する「IR*ゲーミング学会」の副会長を務める橋爪紳也・大阪府立大研究推進機構教授は「中長期に国際観光都市として発展するには、MICEやエンターテインメントの施設を併設するIRは、滞在型観光として世界に訴求する上で不可欠。関連ビジネスの裾野は広く、地域に多くの雇用を生み出す」と強調する。その上で「絶えず、新たな魅力を加えていく」持続的な観光開発の必要性を説く。

 4月に大阪校を開設したカジノディーラーの専門養成機関「日本カジノスクール」(東京都)。大岩根成悦校長は、アジアからの良好なアクセスを背景に「大阪に世界最高峰のIRができるのでは」と期待。IR整備法が成立すれば「国内でディーラーの需要が生まれ、スクールの需要が高まる」とみる。

 懸念の声が強いギャンブル依存症については、衆院で可決した対策法案を挙げ、「カジノができれば、むしろ対策が進んで患者は減る」との見方を示す。

■家族も苦しむ

 薬物やアルコールなどの依存症に悩む当事者や家族の相談を受ける、大阪府こころの健康総合センター(大阪市住吉区)によると、ギャンブル依存に関する相談は、15年度は33人だったが、17年度は207人と6倍以上に急増した。

 笹井康典所長は「法案やマスコミの報道をきっかけに、埋もれていたニーズが増えている」と語る。「ニーズがあれば、専門相談や家族を対象にした教室の回数を増やすなど拡充したい」と対策を挙げる。

 一方、「NPO法人全国ギャンブル依存症家族の会・大阪」のメンバーの女性(56)は、三男がギャンブル依存症だという。「この病は本人もそうだが、家族がものすごく苦しめられる」と訴え、自分だけではないと共感できる家族の会の意義を口にする。

 IR開業をにらみ7月から毎月2回に会合を増やす。IR整備法案には、カジノ事業者が客に金を貸し付ける「特定資金貸付業務」など問題が残っているとして「修正が必要」と指摘する。「苦しんでいる仲間がたくさんいる。家族の話を聞いてほしい」。蚊帳の外に置かれてきた家族の声は切実だ。

 「特定資金貸付業務」について、阪南大の桜田照雄教授は「貸出期間が2カ月ということは、2カ月で決済するということ。利息は不要としているが、延滞には14・6%のペナルティーがある。とても返済できず、“ばくちの金はばくちで返す”となってしまう」と懸念。「カジノの開業には議会の同意が必要だが、地域住民の同意として住民投票を要求するべきだ」と強調する。