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ホームレス脱出へ NPO法人が北区に自立支援施設

2018年7月17日

 ホームレス状態からの脱出を支援するNPO法人「Homedoor(ホームドア)」(大阪市北区、川口加奈理事長)がプライバシーを保つ個室とだんらんのできる交流スペースを持つ施設「アンドセンター」の運用を開始した。緊急避難のシェルターであるとともに再チャレンジの拠点となることを目指す。

アンドセンターのプライバシーを保てる個室を紹介する川口理事長=大阪市北区

 「行くしかない」。関東地域の漫画喫茶でホームドアのバナー広告を見た男性(44)は決意した。残金は1万5千円。大阪まで各駅停車を乗り継いでたどり着き、面談の上でアンドセンター設立前の試験的なシェルターに1週間ほど泊まった。

 「一人でいさしてもらって自分と向き合えた」と振り返る男性は現在、大阪市内に部屋を借り、生活保護を受けながら就労先を探している。ホームドアについて「いろんなものが見えるようになった気づきの場所。心が救われる」と話し、今は集まっている人たちとのだんらんを楽しみに週1回ほど訪れている。

 ホームドアは2010年、大学生3人の任意団体としてスタートし、炊き出しや見回りなどでホームレスの人たちへの支援を始めた。食事や物資、宿泊先の提供、公的支援へのつなぎなど、相談者の話を聞き、意思を尊重した上で支援内容を決定している。

 就労支援も充実してきた。12年には、ホームレスの人たちが自転車の貸し出しや修理を行うシェアサイクル「Hubchari(ハブチャリ)」をスタート。他にも行政委託の放置自転車対策や民間委託の清掃など支援メニューを増やしており、自信をつけてもらいながら次の仕事を一緒に探す。

 16年度の相談件数は166人で平均年齢は45・3歳。17年度は289人で44・6歳。路上生活者は減っているとされるが「若年層からの相談が増えている。ネットカフェなどの利用者を含めれば、家を失っている人は横ばいでは」というのが川口理事長の実感で、緊急避難と再チャレンジの拠点の確立は念願だった。

 アンドセンターは大阪市北区の5階建てビル1棟を借り上げて4月28日から運営を開始。「おっちゃんたちが集いだんらんできる」交流スペースとプライバシーを保つ個室20室を用意した。共用スペースでは自炊や洗濯もできる。

 川口理事長は「お金がなくなって家がなくなっても、あそこに行けば何とかなる。そんな場所」を目指す。

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 アンドセンターの運営には毎月100万円が必要で、1口千円(月)を継続的に負担するサポーター千人を募集している。詳細はホームページで。