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坂本冬美特別公演「恋桜」 大阪新歌舞伎座

2018年11月15日

 昨年の五木ひろしと共演した特別公演に続き、今年は自ら座長をつとめ泉ピン子が友情出演する舞台が上演されている。大阪新歌舞伎座「坂本冬美特別公演/泉ピン子友情出演」がそれで、タイトルは「恋桜−いま花明かり−」(宮川一郎作、菊村禮脚色、石井ふく子演出)。最高齢現役テレビプロデューサーの石井が生まれ育った東京上野の下谷数寄屋町辺りを舞台にした芸者物語で、2女優の競演と、しっとりした演出が見どころになっている。

「恋桜―」の坂本冬美(右)と泉ピン子=撮影・岸隆子(studio Elenish)

 昨年の冬美は「夫婦善哉」で大阪芸者を演じたが、今回は江戸っ子芸者で、東京オリンピックの前年になる1963年頃の東京下町を舞台に、粋な芸者・梅竜に扮(ふん)している。彼女はその美貌で人気なのだが、事情があって刑務所に入っている幼なじみの太吉(丹羽貞仁)のためにけなげに働いて貯金にいそしんでいる。その励みになっているのが同僚の売れない先輩芸者、八重次(泉)で、お互いに足りないところを補ったりして、一緒に置屋松廼家で暮らしている。

 太吉が出所する日が近いことを彼の妹・正子(清水由紀)から聞いて、梅竜はウキウキし、八重次は好意を持っている株屋の谷川(三田村邦彦)の話をするときは声が明るい。お互いの恋がうまくいけばいいが、昔から花柳界でそんなケースは少ない。梅竜は出所して会いに来た太吉に「もう忘れてくれ」と謝られるし、八重次は谷川に「昔から思う人がいる」と告げられる。

 下谷芸者の梅竜と八重次が花柳界でいろんな人たちと生活する様が描かれているのは石井演出の見せ場で、半玉の雛丸(森山愛子)、松廼家のおみね(小山典子)、世話係の正之助(瀬川菊之丞)らがその周辺に顔を出してにぎにぎしい。男爵家出身の谷川に片思いの八重次も元気に生きているし、梅竜がもう一度太吉とやり直すことができるかもしれない。月夜ではなく闇夜だから「花明かり」が美しい。

 2部の「艶歌の花道」(さくらなな構成・演出)は冬美のヒットパレードで、「また君に恋してる」「あばれ太鼓」「夜桜お七」「火の国の女」から「熊野灘へ」までをたっぷり。ピン子もトークで興を添える。25日まで。