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ポップカルチャーのまち 「日本橋」に新たな動き

2018年11月24日

 ポップカルチャーの街としてすっかり定着した、大阪市中央区と浪速区にまたがる日本橋。アニメやゲーム、フィギュアの専門店が立ち並ぶ中、かつて電気や趣味の街としてにぎわった名残がある商店街「日本橋商店会」に近年、若手経営者の出店が相次ぐ。多くの外国人観光客らでにぎわう大阪の街に、新たな動きが起き始めている。

着物や家電製品、工具などの専門店が軒を連ねる昔ながらのたたずまいを残す路地=大阪市浪速区日本橋4丁目
昭和のレトロな家電や看板などが並ぶ展示場「昭和ノイエ」=大阪市浪速区日本橋4丁目

 「安っ! こんな店があったの!?」。軒先につるされた2千円ほどの着物に若い女性が声を弾ませる。アンティークなトランクをそろえる店からは、白ひげがトレードマークの店主が奏でるアコースティックギターの音色が。まるでジブリアニメの一場面のような“非現実感”−。

■レトロな路地

 日本橋商店会は、多くの外国人客らでごった返す「でんでんタウン(日本橋筋商店街)」とは対照的に人影はまばら。十字に入り組んだ細い路地に家電製品や着物、工具類など30店が軒を連ねたが、大型家電量販店の台頭などによりシャッターを閉める店が目立つようになった。

 そんな中、レトロな路地に魅力を感じる経営者や客が少しずつ集まりつつある。

 真新しい木のドアと開店祝いの花が、薄暗い路地に映える。「アジアンカフェ ハッチン」と書かれた黄色い看板のその奥で、店主の八代一也さん(43)が仕込み作業を続けていた。

 計5坪ほどの2階建ての倉庫を改装し、9月にオープン。隠れ家っぽい所を自転車で探し回り、見つけたという。特殊な立地のため、固定客はまだ少ない。それでも「近隣は飲食店が少なく、出前を取ってくれたり客を紹介してくれたりする。まちぐるみのつながりが強い」。人情味ある店同士のやりとりも魅力だ。

 同商店会によると、出店の動きは3年ほど前から。ハンドメード雑貨や和菓子、プラモデルを扱う店が昨年、今年と3店ずつオープンした。

 着物屋を営む赤石憲俊会長は「ほかでは味わえないたたずまいが、新鮮だったりするのだろう」。味わい深いロケーションが話題となり、あえて閉店後の寂しい雰囲気の写真を撮りに訪れる若者もいるという。

■個性ある店

 意外なヒントを得た商店会は、4年ほど前にダイヤル式黒電話やブラウン管テレビなど、レトログッズを集めた展示場「昭和ノイエ」を開設した。

 近年の日本橋は、外国人に人気のカプセルトイやクレーンゲームを取り扱う店が目立つ。デパートのフードコートさながらに飲食店が充実するなど“観光地化”が進む。

 「ニッチなものを扱う店が集まり成り立っていたが、そうではなくなってきた」と指摘するのは、日本橋でフリーペーパー「pontab(ぽんタブ)」を発行する「DECI―LITRE FACTORY」の楠瀬航代表。

 近年注目される「ウラなんば」を例に「店主の顔が見え、個性ある店が自然発生的に集まる所に人は魅力を感じる。商店会もそういう存在になる可能性はある」と期待を込める。