関西あの人この人

食材大切に 心を込め

現代の名工に選出、宝塚ワシントンホテル・日本料理「島家」
上野研二料理長
2016年12月14日
「受賞を励みに若い料理人を育成したい」と話す上野さん

 「料理の名人は星の数ほどおられます。私が受賞できたのは後継者の育成のお手伝いやボランティア活動など総合的に評価していただいたおかげです」

 現代の名工は、卓越した技能を持つとして厚生労働大臣によって表彰される制度で、今年は11月21日、東京の明治会館で表彰式が行われた。

 これまで日本料理界からは“料理の鉄人”として知られる道場六三郎さんや上野研二さんが所属する公益社団法人「日本調理師連合会」の会長、森口冨士夫さんらそうそうたる料理人が受賞している。

 上野さんは徳島県内の中学校を卒業すると日本料理の世界へ。以後、全国各地で修業を積み宝塚ワシントンホテルの日本料理「島家」の料理長に就任した。「日本料理の神髄は素材をこわさないこと。魚、野菜など仕込みから一品一品の食材を生かし、いかにお客さまにおいしく食べていただけるか、心を込めて丁寧に調理することが大切」と話す。

 2009年には大阪府知事優秀技能者「なにわの名工」にも選ばれた。「これまで出会った先輩、おやじさんからは良くしていただいた。このご恩を若い料理人にも継承したい」と後継者の育成に尽力。「さらに一歩、上を目指して旅立つ若い料理人が辞める時には『心』の文字を刻んだ包丁をプレゼントしている」。

 若手育成と同時に国民の健康確保を図るための日本型食生活の普及、ふぐ免許の試験官、小中学校への食育活動などボランティア活動にも熱心だ。

 「妻、息子、娘に料理を作るのも楽しみ。娘の弁当は私が作っています。365日料理をしない日がない」という根っからの職人気質だが、「演歌歌手で作詞家でもある森口会長が作詞したCD『母の恩』を聴くと田舎で1人暮らしをしている88歳の母を思い浮かべ泣けてきます」と思いを寄せる。