大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

地方への移住定住がブーム

2016年5月15日

優遇策アピール 成功の”鍵”は

参加者の質問に答える移住者や行政担当者(奥)=14日午後、大阪市中央区

 地方自治体で「移住定住」がブームである。14日も大阪市内で鳥取県による説明会が開かれ、田舎暮らしを希望する若い夫婦らが参加した。全国の自治体が住宅や子育て支援など“優遇策”をアピールし成果も上がっているが、夢破れて都会に“Uターン”してしまう人も。移住に失敗しないためには、何が必要か−。

 「田舎は人との関わりが生まれる」「新しい視点で田舎というものを感じながら生活している」

 14日、大阪市中央区で行われた鳥取県中部3市町の説明会「鳥取来楽暮(こらぼ)カフェ」では移住希望者と実践した人、市町の担当者が熱心に意見交換した。

 「地方創生」の掛け声とともに、移住定住に力を入れる自治体が多くなった。地方はいま、高齢化や人口減の真っただ中にある。地域の活力や町の存続をかけた取り組みでもある。

 各自治体は競うように、住宅補助などのメニューを用意して都会から移住者を呼び込む。鳥取県は今年から、小児医療費助成の対象を拡大した。

 ただ、担当者は、一番大事なのは就職という。移住者の希望とのミスマッチをどう埋めていくか。就農しようにも当面の資金、生活費も必要。すべてがバラ色とはならない。

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 来楽暮カフェを企画するのはふるさと鳥取県定住機構。毎月、県内市町村と同市内で開いているが、その中でも熱心なのがこの日も参加した倉吉(くらよし)市だ。

 白壁土蔵群で知られる人口5万人の街。「住み良さランキング」の安心度で2年連続1位を獲得した。ここには「待機児童」はいない。まさに「暮らしよし(倉吉)」だ。

 数年前までは企業誘致に力を入れていたが、いまは移住定住に全力。市によると、2013〜15年度、関西を中心に277組計432人が市民となった。移住定住の成功組と言ってよかろう。

 実際に来てみての感想も「人がとても優しい」など好印象。半面「車の維持費、暖房費がかかる」の声も。

 同市は「お試し住宅」を設けて、市役所でも仕事のあっせんをしていく。移住定住を担当する光村太一さん(41)は「医療・介護系の資格を持っている方は就職がしやすい」とアピールする。

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 会場の大阪ふるさと暮らし情報センターでは他県も説明会を開いているが、鳥取県は注目のよう。平井伸治知事の情報発信効果か。来楽暮カフェも約3割が継続参加者で、その半数以上が現地に向かう。

 では、納得がいく移住をどう実現するか。

 機構の谷口正芳さん(66)は「給料は減るが、会社が近く、家族との時間が持て、子どももすくすくと育てられる」。この「田舎ならでは」のことを素晴らしいと思えるか。谷口さんは「1年程度かけて、実際に生活ができるかを確認することが大切」とアドバイスする。

 せっかく移住しても、帰ってしまう人もいる。持っていたイメージと現実が違う。土地になじめない。

 「あなたが変わらないと生活はできませんよ、そうでないなら行かない方がよい、とはっきり言う」(谷口さん)

 最後は人。地域に受け入れられるには、地域の活動に積極的に参加する。この日の報告から、移住定住の鍵が浮かび上がる。