大阪発 羅針盤

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住民、JR悲願 1時間に3分「開かず踏切」廃止へ

2016年5月20日

東淀川駅 橋上化、自由通路も

南宮原踏切で待つ自転車に乗った住民。遮断機はなかなか開かない=大阪市淀川区

 1時間に3分しか横断できない「開かずの踏切」が廃止されることになった。JR東海道線(京都線)の東淀川駅(大阪市淀川区)近くにあり、1時間当たりの合計遮断時間は最大57分で、管内最長。踏切の長さ46.8メートルも管内1だ。JR西日本などは自由通路と橋上駅舎を整備。長年、往来に苦しんできた周辺住民の悲願だった。周辺を探った。

 問題の踏切は東淀川駅の南北にあった。

 遮断時間最大57分の南宮原と、北宮原第1(最大56分)、北宮原第2(同40分)の計3踏切。

 南宮原は1日に16時間以上閉まった状態となることもある。

 現地に行ってみた。遮断機が開いたと思ったら、すぐに警報機が鳴る。人も自転車も車も、急いで渡る。ただ、看板には『警報機が鳴りだしたら、踏切内に入らないで下さい!』

 一方、待ち時間は長い。何本もの列車が通過する。あまりの長さにあきらめて去ってく人も。タイミング良く渡れるかは「運」か。

 横断は50メートルダッシュの気分だ。踏切内の路面には大きく「止まるな」。詰め所職員の「早く」の呼び掛けに、息を切らせた。

■安全な環境を

 名所にもなりそうな「開かずの踏切」。

 子どもを自転車後部に乗せた主婦(39)は「歩道橋に自転車を押して上がるのも大変、踏切で待つ人も多い。『もしかすると』と思っても、なかなか開かないのだけど…」

 線路の東西を行き来するには駅地下道もあるが、バリアフリーに対応していない。高齢者や足の悪い人も踏切を横断せざるを得ない。

 旧国鉄時代には2度、踏切死亡事故も起こっている。

 JR西は大阪市と共同で駅を跨(また)ぐ自由通路を新設し、スロープやエレベーター、上りエスカレーターを設置。単独で駅を橋上化して自由通路と接続させる。

 近くの商店主(53)は「安全が一番。不便が解消され生活環境も良くなる」と歓迎。

 JR西は今年夏ごろから工事に掛かり、踏切は2018年度末の廃止を目指している。

■40年前にも…

 なぜ今まで整備がなされなかったのか。

 東淀川駅は1940年に開業、新大阪駅から京都方面へ約700メートルにある。線路は旅客用、貨物用とも上下線4本。

 JR西によると、40年前の76年ごろに駅橋上化の話があったが、地元の反対があり、事業が進まなかったという。

 反対理由としては、踏切を廃止した場合の車の迂回(うかい)路の整備が十分でなかったこともあった。その後、周辺に新たに幹線道路が2本完成。これを受け、JRは再度、地元に説明し、理解を得た。JRにとっても悲願だったわけだ。

 一方、18年度末にはおおさか東線の新大阪−放出が延伸開業する予定。同線の列車は東淀川駅の貨物用線路を通過する。さらに本数が増える見通しで、JR西も管内最長の「開かずの踏切」の解消は待ったなしだった。

    ◆

 JR西管内には、遮断時間が40分を超える「開かずの踏切」が54カ所あり、このうち約30カ所が大阪府内。