大阪発 羅針盤

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少子化と短大経営

2016年5月25日

厳しさ増し定員割れも 18歳人口減にどう対応

 大阪府藤井寺市の大阪女子短期大が、2017年度の学生募集を停止し、在学生の卒業後に閉校することとなった。18歳人口が減少に転じる「2018年問題」に対応し定員を減らすなどの対応を取ってきたが、近年厳しい経営が続いていた。少子化の波は短大経営にどのような影響をもたらしているのか。

 同短大は学校法人谷岡学園(本部・東大阪市)が運営。1955年に開校し、60年余りで約1万6千人の卒業生を送り出した。現在は生活科学科と幼児教育科がある。

 学生募集(定員計250人)の停止は17日に発表されたが、近隣住民には寝耳に水だったよう。駅前で商店を営む女性(66)は「球場がなくなり、人の流れがなくなった。まちの活力の点でも、短大が閉校になるのは寂しい」と話した。

 法人は在学生524人について、卒業まできちっと教育していくとしている。

■2018年問題

 大学は、入学金や授業料など納付金と国からの補助金で運営されるが、学生数が減れば当然、影響が出る。

 「2018年問題」も目の前だ。同年から18歳人口は急減期に入る。

 これに対応するため、同短大は昨年、学科再編とともに定員を本来の目標340人から250人に削減した。結果、今春258人が入学し、定員割れを回避している。しかし、将来的な入学者の安定確保は難しいと見ている。

 法人関係者は「18歳人口が減少するが、うちは 共学ではないので…」と苦しさを明かす。

 近年、4年制大学や資格取得を主眼とする専門学校への志向が強いとされる。短大は両者のはざまで、もがいている構図か。

 このため、全国では短大を男女共学化したり、4年制に移行する動きがある。

 鳥取県倉吉市の鳥取短期大は15年前に女子短大から共学にした。ただ、“冬の時代”の到来を見越して、というよりも、独自の経営理念によるものだ。

 同短大を運営する藤田学院の山田修平理事長は「男女共同参画が叫ばれる中、女子だけの大学に意味があるのか、共学にすれば18歳人口が倍になる、短大に行きたいという男性への選択肢をつくりたかった」と当時を振り返る。その後、入学志願者は安定しているという。

■特長を出す

 文科省の昨年度の学校基本調査では、現役での4年制大学への進学率が48・9%に対し、短大への進学率は5・2%だった=表参照。

 日本私立学校振興・共済事業団の「入学志願動向」によると、昨年度定員割れだった短大は192校で、全体の60・9%。「地域差、規模の差はあるが、厳しいことは間違いない」(私学経営情報センター)。

 では、短大はどう生き残るのか。都会と地方では取り巻く環境も違う。

 地方の短大は地域との関わりを重視する。都会では優先順位の高い大学にどうなるか、思い切った特長を出すことも必要だ。いまの時代「就職に強い」は絶対条件。「2年」を生かし、社会人の再教育の場を目指してもよい。

 少子化という“荒波”の中、大学経営は難しくなったが、山田理事長は言う。

 「一番は『王道』しかない。一人一人の学生を大切にして、教育をきちんとし、卒業後の進路を保証する」

 大学も試されている。