大阪発 羅針盤

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社会問題化する児童虐待

2016年6月12日

いかに褒め、叱り、育てるか ”親育て”の施策推進を

大阪市東住吉区が開いている親子教室の参加者

 北海道の行方不明男児保護を巡るニュースは、親のしつけのありようが焦点になった。子どもをいかに褒め、叱り、育てるか。「子育てのしづらさを持つ親子」を把握し、支援策を切れ目なく講じている大阪市東住吉区のテーマは“親育て”だ。児童虐待が社会問題になる中、東住吉区の取り組みは一考に値する。

 “親育て”に重点を置く東住吉区には訳がある。2013年2月に発覚した同区の母親による新生児殺害遺棄事件の発生は06年5月であり、この間、6年余りが空白だった。市側は乳幼児健診の案内を続けていたが、市の外部識者による検証部会は「目視による安全確認が必要であるとは考えていなかった」と指摘。小倉健宏区長は13年4月の就任時に行政機関として「自責の念」を抱いていた。

■アウトリーチ

 事件を教訓に、東住吉区は「アウトリーチ(手をさしのべる)」を合言葉に1歳6カ月児健診の未受診者に電話、訪問を実施する一方、問診票を通して子育てのしづらさを持つ親子を把握し、親子教室に誘っている。「友だちと遊べない」などの親の悩みに対して専門家の臨床心理士、保健師、保育士、作業療法士が対応するが、特筆すべきはその後も手をさしのべ、2〜4歳児向けの「親育て、子育ての場」を用意している点だ。

 担当するNPO法人ハートフレンド代表の徳谷章子さんが伝える“こつ”は、子どものためになる褒め方だ。例えば、子どもが手洗いした時に「偉いね。ばい菌さんはバイバイになって、手で物を持って食べてもおなかが痛くならないね」と褒める。そうすると、子どもは手を洗えばおなかが痛くならないと納得する。徳谷さんによると、こつを伝えると子育てが楽しくなり、自信を持つ親は増えている。

■家族を支える

 大阪市内では東住吉区の事件が発覚した翌14年6月、鶴見区で小学生の男児と母親が無理心中する事件が発生した。男児は発達障害と診断され、療育を受けていた経緯があり、市の検証部会は「家族全体を支えていく組織的な取り組みが重要」と指摘。併せて、発達障害児の親がその子の行動を理解し、肯定的な関わりができるようになる「ペアレントトレーニング」の必要性も強調している。

 核家族化が進み、近所付き合いが希薄になる中、子育てに孤軍奮闘する親にいかに手をさしのべるか。「子育ての大変さを語り合い、楽しくする場をつくらなければいけない」と東住吉区保健福祉センターの有馬和代さんが話すように“親育て”の視点を持った行政施策が求められている。