大阪発 羅針盤

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大阪の死亡災害 2年連続過去最少も…

2016年6月16日

過去最少も第3次産業は増加傾向 ”ゼロ災”いかに実現するか

 大阪府内で発生した死亡災害が2年連続過去最少を更新するなど、事業所の労働災害防止への意識が高まっている。一方で、サービス業など第3次産業は近年増加傾向で全体の約半数を占める。大阪労働局は本年度中に多店舗小売業の安全衛生協議会を立ち上げ、第3次産業に対する取り組みを強化する考え。「ゼロ災・大阪」をいかに実現するか−。

 大阪労働局によると、2015年の府内の死亡災害は、過去最少だった前年の53人からさらに減少し、47人となった。

 業種別で見ると、建設業が最も多く13人。第3次産業12人、製造業11人、運輸業8人と続く。

 全体的にはおおむね減少傾向の中で、第3次産業だけが近年増加傾向だ。けがを含めた休業4日以上の死傷災害発生件数も第3次産業が全体の半数を占める=グラフ参照。

 第3次産業は小売業、飲食店、社会福祉施設など。産業構造の変化に伴って拡大を続けているが、労働局は「いまだに安全に関して自ら取り組む意識が十分とは言い難い」としている。労働災害が増加傾向にある点についても、「経験の浅い労働者が職場に潜む危険を察知できない」などを背景として挙げる。

■転倒防止へ

 死傷災害(事故)の状況はどうか。

 建設業は足場などからの墜落・転落、運輸業では荷下ろし中の荷台などからの墜落・転落、製造業は機械にはさまれる・巻き込まれるが最も多い。

 これに対し、第3次産業は「転倒」による災害が30・7%と高い割合を占める。「倉庫に電気をつけずに入った時、放置された台車に足が引っ掛かり、転倒した」(60代、休業1カ月)−。労働災害発生件数の減少には、第3次産業の転倒災害を防止することが必要となる。

 労働局は13年度から「ゼロ災・大阪『安全見える化運動』」を展開している。危険箇所や作業手順を“見える化”することで、従業員に「危ない」「こうしないと」と“意識づけ”をしてもらう。

 建設業では同運動の一環で、安全帯(命綱)の確実な使用を指導している。

 建設現場で安全帯フックに蛍光マーカーを付けて“見える化”している例も。「周囲も安全に作業をしていることが確認できる。それが大事で、そのことによって事故が減少する」(労働局)

 15年の建設業の死亡災害は過去最少だった。

■対策を検討

 では、サービス業の死傷災害をいかに減らすか。

 サービス業は業態、規模がさまざまで、対策も難しいところがある。業界の安全衛生協議会を設立し、広く意識啓発する。建設業や製造業が持っている手法を第3次産業で使えないかなども検討材料。労働局はまず、小売業など3業種に絞って取り組んでいく考えだ。

 労働災害は本人はもちろん、家族、会社をも不幸にする。同労働局安全課の井内一成主任安全専門官(58)は「生活のために働くのに、仕事が原因で死んでしまう。あってはならないことで、労働災害をゼロにしていかないと」と訴える。

 今年の大阪府の死亡災害は今月10日現在で11件、前年と同じ件数で推移している。一方、5月末時点の死傷災害は全産業で2338件と前年同期に比べ105件増加している。