大阪発 羅針盤

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「政策分類」で問題提起 日本総研の広瀬氏

2016年7月31日

「健康・長寿の先導」重要 リニア大阪延伸は低く

 参院選後の経済政策のありようについて、三井住友銀行系シンクタンク日本総合研究所の広瀬茂夫氏(56)が、成長戦略を重視した「政策の分類」をまとめた。医薬・医療機器産業が集積する関西圏のポテンシャルを踏まえた「健康・長寿分野の先導」を重要度の高い政策に位置づける一方、リニア新幹線の大阪延伸の最大8年前倒しを含む「交通ネットワークの充実」を低くした点などが特徴。政策分類が意味するところは何か。広瀬氏に聞いた。

 広瀬氏は同研究所の関西経済研究センター所長を務めており、今月25日の在阪記者との懇談会で政策分類を示した。重要度を縦軸、難易度を横軸にした政策分類には40項目の政策を配置している。その中で特徴的な政策をピックアップしたのが図表だ。

 過去の実績に基づいた「フォアキャスティング」型の政策は難易度が低く、逆に、将来を見据えた「バックキャスティング」型の政策は高くしている。その狙いについて、広瀬氏は「日本は成功体験を積んできたため制度を変えることは難しいが、時代遅れの制度もある」と説明。その上で、参院で27年ぶりに自民党単独過半数を回復した安倍晋三首相の政権基盤が安定していると捉え「長期の大戦略」を提案した。

 健康・長寿分野の先導は、医薬・医療機器産業にスポーツ用品や美容家電などの関係業界を加えたもので、その政策推進に向けた「科学技術予算の確保」も重要度の高い政策にした。先史時代の農業革命や18世紀の産業革命に比肩するとされる「デジタル革命の先導」をはじめ、関連する小型無人飛行機(ドローン)や自動運転機能の活用を視野に入れた「デジタル革命をテコとした地方の生活改善」の重要度も高い。

 リニア大阪延伸の前倒しについては、そのベースになるスーパー・メガリージョン(巨大都市圏)の形成から「何が生まれるか見えない」と指摘し、大阪延伸に伴って東京圏に吸い取られる負の側面を懸念した。「一段の金融緩和」については円安株高の効果があったものの「通貨の信用を失いかねない」としている。

 安倍政権が掲げる「地方創生政策の推進」を巡っては地方の「補助金漬け」を懸念する一方、難易度の高い「地方への権限・財源移譲」の重要度を高く位置づけている。

 広瀬氏の提案は、難易度の高い政策ほど重要度も高く、本腰を入れた対策を迫った格好だ。政府の新たな経済対策が閣議決定される8月2日を前に、問題提起したと言える。