大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

女性活躍推進法施行1年

2016年9月15日

大阪は就業率45位 企業に雰囲気づくり啓発

シンポジウムで事例発表する伊藤さん(右)と久保さん

 昨年9月の女性活躍推進法施行から丸1年たった。女性就業率が全国下位の大阪府は今月を「OSAKA女性活躍推進月間」と定め、企業向けの啓発活動に余念がない。人口減少による労働力不足が懸念される中、仕事と育児の両立に向けた環境整備をいかに進めるか。先行する企業担当者が13日のシンポジウムで示したポイントは職場のコミュニケーションだった。

 「男性は定年まで働く雰囲気が醸成されているが、女性は結婚、出産を控える。その中でどう働くか、本人に聞かなければいけない」

 段ボール製造販売のレンゴー(大阪市北区)で女性活躍推進室長を務める伊藤嘉寿代さんは、シンポジウムの事例発表でこう切り出した。「そんなことを聞けば“セクハラ”になると男性管理職は悩むが、女性のキャリアプランを考える上で聞けばいい」とプライベートな領域に踏み込む必要性を説いた。

■モチベーション低下

 レンゴーは2021年3月までに女性管理職数を19人から40人以上に倍増し、営業外勤や製造現場で働く女性社員数を2倍以上にするなどの行動計画を設定した。仕事と育児の両立支援策として上司と女性の情報交換を掲げている。

 キャリアプランを話し合う場の創出を訴える伊藤さんは「上司と部下の信頼関係が重要。コミュニケーションを密にしていればセクハラの心配はない」と説いた。そう考える背景には「上司による一方的または過度な配慮が女性のモチベーション低下を招いている」との社内の女性の声がある。

■漢方薬のように効く

 大阪府によると、府内の20〜59歳女性の就業率は66・1%で全国45位の低い水準(2012年総務省調べ)。3世代世帯が多い北陸、山陰、東北に比べて大都市圏の女性就業率は低い傾向にあり、さらに大阪の場合は女性が離職理由として「結婚」を挙げる割合が全国4位と高い事情もある。

 しかし、通販大手の千趣会が運営するベルメゾン生活スタイル研究所(大阪市北区)による今年6月の女性意識調査は、配偶者やパートナーの来年の給料が増えると思わない人が44・2%を占め、増えると思う人の15・4%を大幅に上回った。将来の経済状況を悲観する向きは少なくない。

 社会ニーズが高まる女性活躍推進の環境整備は始まったばかり。「(女性活躍の取り組みを)継続すれば特効薬のように成果が表れなくても漢方薬のように効いてくる」とは竹中工務店(大阪市中央区)ダイバーシティ推進グループ長の久保素子さんがシンポジウムで語った視点だ。企業には職場作りの地道な姿勢が欠かせない。