大阪発 羅針盤

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増加する訪日中国人客

2016年10月1日

「国慶節」に直接交流を 相互理解 深めるチャンス

訪日中国人客の受け入れについて講演する林田さん。今年8月の中国人客数は最多の67万7千人だった

 中国の国慶節(建国記念日)に伴う大型連休が1日に始まり、日本国内の観光、商業施設は訪日中国人客を受け入れる機会が増える。人気スポットになった大阪市内の商店街は、生活習慣や価値観の違いを踏まえたおもてなしの習得に余念がない。双方が触れ合う「直接交流」は相手国の印象を左右するだけに、訪日中国人客が増えるこの時期は相互理解を進める好機と言える。

■平和産業

 訪日中国人客のうち上海や北京、広東省の出身者が50%を超えた2015年に比べ、16年の割合は29%しかない。その分、どこの出身者が増えたか。「経済発展する内陸部が増えている」と大丸松坂屋セールスアソシエイツのインバウンド推進リーダー林田尚之さん(56)は、心斎橋筋商店街で9月27日に講演し「日本が初めての人がまだまだ訪れる」と続けた。

 訪日中国人のリピーターだけでなく初心者も念頭に置いた研修会の主眼は、生活習慣や価値観の違いから生じるトラブルの対処法。「中国ではパッケージと中身がかなり違うので購入前の開封はよくある」として、商品の空き箱や注文カードだけを店頭に置くシステムの構築など対処法を提示した。

 「たとえ中国人客が騒がしくてもお金を落としてくれる。日本が好きでわざわざ来てくれると思えば、対応は優しくなる」。接客の心構えも説いた林田さんが講演を通して強調したフレーズは「インバウンドは平和産業」だった。

■歯止め

 日本の対中関係を巡っては、中国公船などによる尖閣周辺の領海侵入が8月に相次いだばかり。「言論NPO」(東京都)が発表した最新の日中共同世論調査結果は、一連の動向を理由に日本人の中国に対する印象が再び悪化したが、中国人の日本への印象は歴史認識などを背景に高水準が続くマイナスイメージに「歯止め」が掛かっていた。

 歯止めの背景について、言論NPOの担当者は、中国人の訪日経験者の半数以上が日本に良い印象を持っていたことから「直接交流」の効果を挙げた。また、日本側でも「民間交流によって中国人の存在が身近になっている」と考える割合が増加したことを引き合いに相互理解の必要性を説いた。

 日本政府観光局の統計によると、訪日外国人客数は直近の8月で前年同月比12・8%増の204万9千人を記録し、中国人客は最多の67万7千人だった。国慶節を迎え、中国人客の増加が一層見込まれる10月は直接交流の効果を高める好機だろう。