大阪発 羅針盤

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吹田操車場跡地の大規模開発

2016年10月10日

健康医療で関西復権 マンションと国循が連携

健都のマンションに導入される健康管理システム
吹田操車場跡地で開発が進む健都=4日、吹田・摂津両市境界付近

 巨大貨物ターミナルの旧国鉄吹田操車場跡地を健康医療都市に再生する大規模開発の詳細が鮮明になってきた。2018年に第1期工事が完成する分譲マンション事業者の近鉄不動産は、同時期に開設する国立循環器病研究センター(国循)と連携した入居者の健康管理システムを発表した。健康寿命の延伸に主眼を置いた都市の形成は、地盤沈下が懸念される関西復権の鍵を握りそうだ。

■アドバイス

 

 1923年に開業した吹田操車場は「東洋一の規模を誇る物流拠点」と称された。しかし、道路網の発達を背景に役割を終え、現在は大阪府と地元の吹田、摂津両市などが「北大阪健康医療都市(健都(けんと))」として開発を進めている。その総面積は30ヘクタールだ。

 居住エリアで近鉄不動産などの共同事業体が着工したマンションの規模は824戸。NTT西日本とドコモ・ヘルスケアが参画した健康管理システムは、入居者が手首に巻くバンドに歩数、移動距離、消費カロリー、睡眠時間などが蓄積され、そのデータを居室のテレビ画面に表示することで認識できる。さらにデータを基に国循が健康アドバイスする仕組みで、近鉄不動産の大石浩一マンション事業部長は4日のモデルルーム内覧会で「生活習慣病の予防効果は高い」と話した。

 健康医療をコンセプトにした健都には国循と吹田市民病院の移転建て替えに併せ、健康医療関連業界の研究機関を誘致する計画もある。さらに政府が移転方針を示した国立健康・栄養研究所(東京都)の受け入れを想定しており「医療クラスター(集合体)として成長させる」(大阪府幹部)意向だ。

■模範都市

 

 企業の本社機能流出、生産拠点の海外シフト、成長産業の欠如…。3日の関西経済連合会創立70周年記念式典で、関西の懸念材料に言及した政府関係者がオール関西の対応に期待を寄せたのに対し、関経連の森詳介会長は産業育成として健康医療の分野を真っ先に挙げた。

 折しも、大阪府が2025年国際博覧会(万博)の誘致に掲げたテーマも「人類の健康・長寿への挑戦」であり、前出の政府関係者は「地域経済を活性化する絶好の機会」と評価していた。万博誘致を巡っては財源見通しや経済効果の議論が不可欠であり、誘致実現は見通せないとはいえ、健康医療の都市形成や産業育成が関西復権の鍵を握ることは間違いない。

 その意味でも、時代の変遷を映し出した吹田操車場跡地に誕生する健都は注目に値する。「世界的な模範都市になるというスローガンがある」(大石氏)健都の完成は2〜3年先。世界の衆目を集める20年の東京五輪・パラリンピック開催前である。