大阪発 羅針盤

 地域の取り組みや課題、人々の動きや思いを通して大阪の明日、日本の未来を展望します。

関西版の成長戦略策定

2016年10月31日

お題目で終わらせるな 「女性活躍」問われる実効性

人材育成セミナーでビジネス感覚を高める女性社員=25日、大阪市中央区
財務省幹部と意見交換する関経連など関西の経済団体幹部(右側)=24日、大阪市北区

 政府が掲げる国内総生産(GDP)600兆円の経済実現に合わせ、関西経済連合会(関経連)は近畿2府4県の域内総生産(GRP)100兆円を2020年度に目指す関西版の成長戦略をまとめた。圏域に集積する健康医療産業の付加価値を高め、21年の関西ワールドマスターズゲームズ(WMG)に向けてスポーツ市場を広げる。さらに、人口減少による労働力不足が懸念される中、女性の就業率向上を成長力につなげる意向だ。

 「役職や管理職に就く話があっても『できない』となる。ロールモデル(手本)がいないから」。人材育成会社イーイノベーション(大阪市中央区)の加藤元美さんは、女性が男性に比べて自己肯定感が乏しい背景について身近な「ロールモデル」の不在を挙げた。

■環境づくり

 若年女性の職場定着に向けた大阪府の人材育成プログラム開発事業を受託したイーイノベーションは現在、関経連をはじめ連合大阪に加盟する企業の社員を対象に連続講座のセミナーを開いている。今月25日のセミナーは、ビジネス感覚を高めるために架空の社員旅行のプラン作りを通して段取り力などを指導した。

 「女性活躍が当たり前にできる環境づくりの一翼を担いたい」と受講者の1人は感想を語ったが、こうしたロールモデルになり得る人材育成は企業や経済団体の当事者意識が欠かせない。

 女性就業率が全国下位の大阪府は、プログラムの完成を待って教材やノウハウを無償提供する意向だが、具体的なセミナー開催や講師派遣を今後求める場合は企業負担が予想される。その際の企業側の対応は関経連にとっても注目点になっている。

■青写真

 関経連は成長戦略の策定に際して女性のキャリアアップに向けた支援の強化を政府に求めたほか、24日の財務省幹部との意見交換会で地方の成長力底上げにつながる投資も訴えた。「女性活躍」「地方創生」を唱える安倍政権の実効性をただした格好だ。

 関経連の成長戦略は、20年度の健康医療産業の付加価値額を15年度比1兆9千億円増の4兆2千億円に押し上げ、スポーツ市場の規模を同1兆1千億円増の2兆1千億円に拡大するなどしてGRPを現状の82兆4千億円から100兆円に引き上げる青写真を描いている。

 関経連の広冨靖以・経済財政委員長は19日の記者発表で「(成長戦略は)テーマ出しが中心だ。実効性がどれだけ担保されるかがこれからの課題」と話した。安倍政権と同様、公表した目標をお題目に終わらせない姿勢が問われている。