大阪発 羅針盤

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けいはんな創設30年

2017年3月13日

関西の先進性の象徴 実効性の鍵はオール関西

企業立地が進む「けいはんな学研都市」(関西文化学術研究都市推進機構提供)

 京都、大阪、奈良の3府県にまたがる「関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)」が今年、創設30周年を迎えた。1987年の建設促進法施行を受けて京阪奈丘陵で整備が進み、現在は大学、研究機関、企業の132施設が立地する。「関西の先進性の象徴」(森詳介関西経済連合会会長)に成長したけいはんなだが、実効性を高めるためにはオール関西の視点が欠かせない。

■東のつくば

 「法律に基づいて建設されたサイエンスシティーは東の『つくば』と西の『けいはんな』の2地域だけだが、けいはんな発展の目的は民意であり、つくばと違う」

 9日の30周年記念シンポジウムであいさつした森氏は、70年に創設された茨城県つくば市の筑波研究学園都市との相違点について「つくばが国主導だったのに対し、けいはんなは経済界中心でできた」と説明。けいはんな発展の意義を「関西を東京と並ぶ第2の都市にする鍵」とも語った。

 つまり、けいはんなを整備する下地には東京一極集中の是正を目指す関西経済界の自負があるというわけだ。

■問われる戦略

 民間主導のけいはんなは、立地する132施設のうち約半数を研究開発型企業が占め、三菱東京UFJ銀行や日本電産も今後立地する。さらに、北陸新幹線で未着工の京都−新大阪間について与党が「南回り」を採用する方針を固めたことで、けいはんな活性化の期待感が漂う。

 リニア新幹線の大阪延伸前倒しも含め、追い風が吹くけいはんなだが、実効性を巡って「新たなビジネス展開、大きな新産業創出につながっていない」との声があるのも事実だ。シンポジウムで発言した関経連の科学技術・産業政策委員長、牧村実氏は成長産業の健康医療、人工知能、環境エネルギー、航空機分野を引き合いに「出口戦略が必要」と指摘した。

■横のつながり

 けいはんなの実効性をいかに高めるか。ポイントの一つは関西圏に点在する研究拠点との連携だ。

 阪神・淡路大震災の復興事業として始まった神戸医療産業都市や箕面、茨木両市にまたがる彩都ライフサイエンスパークを念頭に、関西文化学術研究都市推進機構理事長の柏原康夫氏(京都銀行相談役)は「横のつながりを強化すれば(新たな)発見もある。つながりができれば商品作りも早い」と連携に意欲を見せている。

 関西経済界が推進するオール関西の姿勢は関西圏の研究拠点にも欠かせず、その取り組みこそが「日本の双発エンジン」を形成する道だろう。