大阪発 羅針盤

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幸せホルモンがあふれる産後ケア

2017年4月25日

切れ目ない支援策を 助産師会がワークショップ

ワークショップの講師を務め、参加者にハンドマッサージをする片山さん=21日、大阪市住之江区

 「幸せホルモンがあふれる産後ケア」と題したワークショップが、大阪市住之江区で開かれた。ストレス緩和などにつながるという「幸せホルモン」の分泌を後押しする支援策を考える場として大阪府の助産師会と看護協会が設けたもので、背景には「産後うつ」に伴う育児放棄、虐待の予防がある。ワークショップの本題は「切れ目のない」支援の実効性をいかに高めるかだった。

■オキシトシン

 「親と子どもがぬくもりを肌で感じ、抱っこし、触れることで、親と子ども両方からオキシトシンが分泌され、親子が幸せに包まれます」−。

 幸せホルモンと呼ばれる「オキシトシン」の分泌を実感するため、参加者は互いにハンドマッサージを通して触れ合った。オキシトシンの分泌によって家族のスタートを切る大切さを肌で感じるワークショップは、分泌を後押しする出産後の支援策を考える場でもあった。

 講師を務めた助産院院長の片山由美さんは、枚方市の産後ケア事業の受託者として生後4カ月未満の赤ちゃんとお母さんを対象にショートステイとデイサービスを提供する立場にある。休息やリフレッシュを求めるだけでなく、抱っこ、寝かせ方、授乳など今の関わり方で良いかどうかなどを確認したい母親に対し、片山さんは「自信を持って自律できる」ようにアドバイスしていると強調した。

■匿名の電話

 核家族化をはじめ地域のつながりの希薄化を背景に、厚生労働省は「結婚から妊娠・出産を経て子育て期に至るまでの切れ目のない支援の強化」を唱えているが、片山さんは「母親から見ると(事業によって担当の)人が変わるため切れ目だらけ。いつでも何でも聞いてね、という存在が必要」と指摘した。

 実際、大阪府が昨年2月18日に大阪母子医療センター内に設けた「妊産婦こころの相談センター」には今年3月末までに310件の相談が寄せられた。府の担当課によると、保健師の育児訪問を受けても不安を解消できず、電話をかけるケースがある。

 10人に1人は「産後うつ」を発症するとされており、同センターは妊産婦の自殺をはじめ児童虐待の予防対策として開設した経緯がある。匿名希望の電話相談もあり、このことは「気軽に相談できない」(担当課)心境を意味する。

 「本当の産後ケアとは何か」(片山さん)−。虐待が懸案化する大阪にとっては欠かせない問題提起であり、孤立する母子に寄り添う支援の充実が求められている。

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 ワークショップは、大阪府社会福祉協議会などが20〜23日に開いた介護・福祉・高齢者医療・看護の総合展示会の一環として設けられた。