大阪発 羅針盤

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関西広域連合の所期目的達成できず

問われる「地方」政策
2017年10月9日

中央集権打破 実現なるか

文化庁の京都移転を観光・産業振興につなげる共同宣言に署名した関西広域連合長の井戸敏三氏(左から2人目)と文化庁長官の宮田亮平氏(同3人目)=2016年7月

 東京一極集中の是正が叫ばれて久しい。「地方創生」や「地方分権」のスローガンが10日公示の衆議院選挙を前に聞かれるが、果たして地方の時代は到来するのか。2009年の衆院選で誕生した民主党政権(当時)の「地域主権」に期待して翌10年に発足した関西広域連合は、所期の目的を達成できていない。

■法案廃止

 

 「国の出先機関を引き受けることを関西広域連合は狙った。地域主権を1丁目1番地とする民主党政権で法案を決定したが、廃案になった」

 関西広域連合長の井戸敏三兵庫県知事は、圏域の経済・住民団体代表者らを迎えた9月下旬の協議会で、目的が未達成の背景を説明し「使命を果たさなければいけない。旗を掲げ続ける」と訴えた。

 国の各省庁が地方に設置する出先機関を巡っては、地元自治体との二重行政が指摘されているほか、国会や国民からチェック機能が働きにくいため事務執行に無駄が生じやすいとして問題視されている。その状況を踏まえ、09年衆院選で民主党は「国の出先機関の原則廃止」を掲げて政権交代を遂げたが、12年衆院選で自民党が政権を奪還したため、関連の法案は廃案になった経緯がある。

 関西広域連合はこの間、中小企業を支援する経済産業局、国道や河川を整備する地方整備局、国立公園を管理する地方環境事務所の3機関に絞って事務・権限の移管を目指していた。当時の橋下徹大阪府知事は「丸ごと移管はぜひ実現しなければならない。いよいよ本格的な国とのバトルが始まる」と戦闘モードだったが、結果的に丸ごと移管は実現しておらず、依然として「旗色」は悪いままだ。

■国は身軽に

 

 大阪府や兵庫県など2府6県4政令市で構成する関西広域連合だが、発足の過程に関わった関西経済連合会元会長の秋山喜久氏の指摘は明快だ。

 「日本は中央集権制度のまま活動した。『日本株式会社』と言われるほど官民一体で高度成長を遂げたが、豊かになり、中央集権の弊害が出ている。(交通インフラなどの)社会資本整備は中央で決められ、地域の特性に合っていない」

 今回の衆院選は憲法改正の是非が争点の一つになっているが、9条の議論とは別に「憲法に地方自治をはっきり打ち出すべきだ」と秋山氏は説く。井戸氏も今後の憲法改正議論を注視する意向を示し、井戸氏周辺は「どの政党が政権を取っても地方との関係を構築しなければ内政の仕事はできない」と言い切る。

 関西広域連合が掲げた「中央集権体制の打破」は果たして実現するのか−。京都府への文化庁移転をはじめ、和歌山県の統計局、徳島県の消費者庁の拠点整備方針を引き合いに、井戸氏は「東京一極集中の是正につながっている」と胸を張るが、首都機能の関西への配置を視野に要望する「防災庁(仮称)」創設については具体化に至っていない。

 「『国難』に向けて国は身軽になってほしい」−。前出の井戸氏周辺は衆院選を念頭にこうつぶやいた。