にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆2 サイ

2018年5月10日

つぶらな瞳、泥遊び大好き

トミー 35歳のトミー。気は優しくて力持ち。三つ目の角があり、体に縦の溝が特徴
サミア おてんばなサミア。唯一のメスでまだまだ成長期という。よく駆け回る姿もみられる
ライ 繊細で恐がりというライだが、体は3頭の中で1番大きい。耳の毛が長いのも見分けるポイント

 1トンを超える大きな体を揺らしながら、ステップは馬のように軽やか。指の数が3本でひづめがあり、シロサイ、インドサイなど世界には5種がいます。天王寺動物園(大阪市天王寺区)にはクロサイが3頭います。みんな泥遊びが大好き。つぶらな瞳ですが、じっと見つめられればその大きな体の迫力に圧倒されます。

 厚く硬い皮膚に覆われ、外見ではオスとメスの区別しにくく、お尻から見るとゾウのようです。

 目が悪いのですが、耳と鼻が発達しており、ラッパのような耳をくるりと動かして聞き耳を立てている様子を見かけます。飼育員も声を掛けながら近づかないと危険とされ、「野生では目で確かめる前に突進してくることも」。時速40〜50キロで走ることもあるそうです。

 動物園のバックヤードでは、ラジオを流して人間の声になれさせたりしていますが、来園者には静かに見守ってもらえるよう看板などで呼び掛けています。単独で生活するため、園内では1頭ずつが交代で展示場に出てきます。

■中高年、怖がり、おてんば

 35サイ(歳)になる「トミー」(オス)は、広島市の安佐動物公園生まれです。平均寿命が40歳という中にあっては中高年ですが、まだまだ元気いっぱいです。おなかの縦シワが特徴。3頭の中では一番立派な角をしており、三つ目の角が生えています。雨上がりや湿気が高いとテンションが上がります。

 続いては7サイの「ライ」(オス)。愛媛県立とべ動物園で誕生し、今では3頭の中で一番の大きさになりました。繊細で怖がり。当初は天王寺動物園に慣れず、暴れて蛍光灯を壊したり、お客さんの前に出たがらなかったり、大変でした。体と共に成長し、皆さんの前に姿を現します。

 最後は、おてんばな4サイ「サミア」(メス)です。ドイツのライプチヒ動物園で生まれました。よく走り回る活発さもありますが、展示場から入れてほしいと扉をたたくなど神経質な一面もあり、まだまだ成長期。子作りも期待されており、成長が楽しみです。

■トレーニングも日課

 サイの一日は、朝は健康チェックから始まります。続いて1頭は展示場に行き、日中は3頭が入れ替わりをします。それぞれマーキングしたり、泥遊びや岩や木で角を研いだりします。

 トレーニングも欠かせません。それは採血したり、体温を計ったりするなど、健康チェックをしています。飼育員がターゲットとなる音で黄色い棒に鈴を着けて合図を送り、壁にお尻を近づけたりします。トレーニングは生活のリズムにもなっています。

■密猟横行、絶滅の危機

 残念なことも起きています。サイの角を求めた密猟です。角に薬効があると信じられ、高値で闇取引されているようです。角は爪や髪の毛と同じような成分だそうです。サイが次々に殺されています。今では絶滅が危惧されています。悲しい現実です。

 そんなクロサイを天王寺動物園では、3頭のいずれかでカップリングが期待されています。過去にも繁殖の実績があり、トミーは子どもがいます。

 「サイの赤ちゃんのかわいらしさをぜひ見てもらいたい」と同園。いずれは、子どもを連れたサミアの姿を見ることができるかもしれません。ぜひ実現してほしいですね。