にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆6 レッサーパンダ

2018年9月13日

木登りも二足立ちもお任せ

遊びたくて仕方がない元気な咲弥
食いしん坊のシュウナ。大好きなリンゴをがぶり
木登りが大好きなメル。耳がほとんど見えないため、丸い顔が目印

 ふさふさの毛につぶらな瞳。レッサーパンダは、その愛くるしい姿で動物園のアイドル的な存在です。天王寺動物園(大阪市天王寺区)には3頭が暮らしていますが、やっぱりかわいい。カメラマンと2人でメロメロになりました。

■食欲は負けん!

 3頭の中で最年長は雌のシュウナ。今年で12歳になりました。一般的に飼育下の寿命は13〜14年と言われていますので、もう“おばあちゃん”です。

 シュウナの特徴は、旺盛な食欲。毛に白髪が交じり、ほかの2頭と比べてもお年寄り感は否めませんが、食いしん坊なのは若い頃から変わらず。好物のリンゴとともに、シュウナだけに与えられるゆで卵も大好きで、殻ごとバリバリ食べる姿は「若者には負けん」とも言っているようです。

 シュウナは出産経験がありません。実はかなり気が強く、飼育員さんいわく「歴代の雄を倒してきた」。気が合う相手には恵まれなかったようです。

■初の繁殖なるか

 同園初となる繁殖の期待がかかるのが、雄のメル(5歳)と雌の咲弥(さくや)(3歳)です。メルは3年前に埼玉県から、咲弥は昨年11月に福井県から来ました。

 メルの目印は小さな小さな耳。赤ちゃんの頃に兄弟ゲンカで両耳の先をけがをしてしまいました。だからなのか、性格はおとなしく温厚。決して自分から攻めることはなく、例え咲弥にちょっかいを出されても、怒るより逃げるんだそうです。

 育ち盛りの咲弥は、園で一番の元気者。遊びたくて仕方がないようで、メルやシュウナにちょっかいを出しては嫌がられています。展示スペースでも活発です。

 レッサーパンダは群れずに行動し、繁殖期だけ一緒に過ごします。2頭は来年から本格的に繁殖行動に入る予定です。「2人とも初めてのこと。なんとかうまくいってほしい」と担当飼育員の早川篤さん。

■かわいい顔して…

 レッサーパンダは一日のほとんどを木の上で過ごすため、木登りは得意。そのため、爪は鋭く発達していて、引っかかれるとジーパンが簡単に裂けるほど。また、指は5本ですが、前足の親指の付け根に出っ張りがあり、物が持ちやすいようになっています。“6本目の指”とも言える働きぶりも観察してください。

 数年前に二本足で直立するレッサーパンダが全国的に話題を集めましたが、なんと!3頭もできます!!。実は、珍しいことではないようです。園でも時々、餌のリンゴを持って立っていますので、ぜひご注目を。ただ、かわいい顔の下には鋭い爪が隠れていることも忘れずに。

 【レッサーパンダ】食肉目レッサーパンダ科。インド北東部やネパール、ミャンマー北部、中国四川省などの高地に分布。近年は密猟や生息地の減少で、国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定。