英語に親しむ

【番外】 幼少期の英語教育

2016年2月7日

「身体化認知経験」提唱 近大・濱本教授に聞く

「音声と動作で覚えさせることが大切」と語る濱本教授=東大阪市の近畿大学

 文科省は2020年度を目標に小学校の外国語活動を3、4年生に前倒し、5、6年生は英語の教科に格上げするなど次期学習指導要領の改革骨子案を発表した。英語教育の早期化が進むが、幼少期に英語を学ぶとどんな効果があるのか。「身体化認知経験」を提唱し、地域で実践する近畿大文芸学部英語コミュニケーション学科の濱本秀樹教授(63)に聞いた。

 −一般的に英語を学ぶのは早いほうがよい、と言うが。

 早期英語教育(3〜12歳)の成果についてはデータが少なく確定的なことは言えないが、「第二言語」習得論と「外国語」教育の混同がある。第二言語は移民などをする場合で、これは早ければ早いほうがよい。外国語として英語を学ぶ場合、日本は中高合わせて700時間程度。これではインプット量が圧倒的に少ない。

 −その中で、先生は早期教育の必要性を訴えておられる。

 成功例はある。ほとんどの科目を英語で行っている私立小学校があるが、ある点では小学6年で大学生並みの英語力だ。日本の大学生の調査でも、中学以前に英語を学習した方が英語の音素の聞き取りが優れ、学習開始が早ければ早いほど文法性判断テストで成績が良くなることを示すものもある。

 −先生が重視される「身体化認知経験」とは。

 実際に私も教えているが、4歳から10歳ぐらいまでは歌や絵本、ゲームなどで良質の音声をインプットさせる。音声と動作で覚えることが大切だ。動機付けが大事ということ。しかも一挙にやったほうがよい。中学まではトップダウンで何度も何度も教えると効果がある。

 −その有効性については。

 私は歌による「フォニックス」指導、動作を伴う英語の「チャンク」学習を柱にしている。音声をたくさん聞かせるのが有効で、必要な時によみがえる。フォニックスの効果は持続性にある。チャンクとは体を動かして音声と共に覚える言葉のまとまりのこと。多量の音声表現は中学校英語の基礎となる。

 −分かりやすく言うと。

 子どもは外国語学習に向いているということだ。繰り返しまねる事を嫌がらない。いちいち教えなくても、耳で覚えている。歌やダンスやゲームは遊びと思われる人があるかもしれないが、無意味ではなく、ずっと覚えておける可能性がある。中学校での助けになり、文法は中学以降に覚えたらよい。こういうやり方なら早期教育が有効であるということ。

 −海外の状況は。

 台湾は早期に英語学習に取り組み、大学生の伸びも早い。韓国は国を挙げてそのための環境整備に力を入れている。海外は人材育成という観点で英語を見ている。人材育成には他の要素もあり、英語教育が直結するかは不明だが、コミュニケーションツールとしての英語がますます重要になることは間違いない。

 〈プロフィル〉はまもと・ひでき 大阪外大外国語学部イタリア語科卒、大阪大文学研究科英語学専攻博士後期課程退学。民間企業、府立高校の英語教諭を経て、神戸松蔭女子学院大教授となる。2008年から近畿大文芸学部英語コミュニケーション学科教授。専門は言語学で、英語教育学会会員。大阪市住吉区在住。和歌山県出身。