英語に親しむ

第5部「体験する」(中) 小学校で英語学習

2016年5月2日
動物の名前を英語で発音する学習に参加する記者(右)=大阪市天王寺区の市立味原小

 大阪市天王寺区の市立味原小学校。大阪市が推進する「英語イノベーション事業」の重点校に2013〜15年度の3年間、指定された。今も週3日、1年生から6年生までが1回15分の英語学習を継続している。この学習に記者は参加。中学、高校と英語のテストの点数は悪くなく、内心、小学校レベルなら“楽勝”だろうと臨んだ。

■負けられない

 午前8時半、正門をくぐり、2年1組の教室に入ると、児童24人の視線が一斉に注がれた。数年後に40歳を迎えるスーツ姿の中年が子どもと学習する様子は異質だが、ひるんでいられない。

 担任の丸井幸子先生が「Good morning!」とあいさつすると、児童も大声で返した。ここから速いテンポで一気に学習は進んだ。テレビ画面にDVD教材の「Jump Jump」「I am swimming」の文字が映し出されると、児童は笑顔で跳んだり、腕を回したり、同じ動きを披露。記者は自意識と恥ずかしさで同じ動きができない。

■小声が大声に

 丸井先生が動物の絵と名前の英単語が書かれたカードを見せていく。子どもたちが即座に動物の名前を発声。音と文字の関係性を学ぶ「音文字指導」と呼ばれる学習方法だ。記者は小声でぼそぼそとつぶやくありさまだ。

 絵本を膝に置いた丸井先生を児童らが囲む。ページをめくっては、「Peanut butter」など絵本に出てくる単語を発声する。これは簡単だ。子どもたちに負けないよう大声で何度も言うと、楽しい気持ちになった。1人の女子児童が不思議そうにこちらを見ていたのは気になったが。丸井先生からは「懸命に参加しようとする積極性が見られた」と“意欲”を買ってもらえた。

■楽しく学ぶ

 学習の間、児童らは絶えず、担任やDVDの英語を耳から取り込み、口にしていた。記者の小学生時代に英語はなかったので比較できないが、中学、高校の板書中心の授業とは全く違うと感じた。印象的だったのは、児童の楽しそうな姿だ。英語学習を担当する教諭の本田あゆみさんは「体を動かす、絵本を見せる、声に出すの三つを心掛けている」。これが興味を途切れさせないポイントだという。

 大阪市教育委員会事務局の学力向上・英語教育グループ主任指導主事の松本学さんは、こう説明する。「『分かった』『できた』という体験を積み重ねることが英語の習得につながる」。“できた”感覚はつかめなかったが、もう一度、英語を学びたい気持ちが湧いた。

 英語イノベーション事業 2013〜15年度の3カ年に大阪市内の19小学校と8中学校を重点校に指定。16、17年度は重点校で得られた指導ノウハウを基にした学習の研修を行い、市内全292校で実践する。