大森均の釣れ釣れ草

「繊細」追究した面白さ 東タナゴ、西モロコ

2016年12月2日
近くの小川でタナゴと遊ぶ澤さん

 タナゴ釣りは関東が発祥だ。釣りを楽しむ人は「より大きな魚を釣ってみたい」という根源的な欲求がある。しかし、5センチ前後のタナゴを釣る楽しみを一つの釣りのスタイルとして昇華させ、それが江戸の時代から今日まで続いたのは「繊細」を突き詰めた面白さがそこにあったからであろう。

 少し年代の記憶が怪しいが、200年ほど前の古書に「エサはうどんで釣るべし」と、すでにタナゴ釣りの記述がある。「江戸前」のタナゴ、「関西」のモロコは、ともに古くから親しまれてきた伝統の釣りで、小物ゆえの繊細な道具は、時を経て工芸品に昇華するものまで現れた。

 釣りの世界では最も小さなターゲット(3〜6センチ)を対象にしているその道具は、すべてコンパクトで趣味性が強い。以前この魚の記事を書いた際、タナゴ竿(さお)のいいものは10万円程度と思い込んで調べてみると、30万円を超えるものがあって驚いたことがあった。総布袋竹、印籠9本継ぎ、全長7尺のタナゴ竿。替えの手元と穂先が付いており、取り換えることで4本継ぎ、全長1メートルの短ザオとして使うことも可能とか。銅と金が塗られた口塗りと透(す)き漆で仕上げられた胴塗りと相まって、格調高く仕上げられている。貧乏性の私なら所有したとしても使わないで床の間に飾っておくような立派な工芸品だった。

 ▽観賞魚として価値高い

 本紙の気配の欄を輪番で担当する錦剛司さんは、数年前まではグレやスズキの大物をひたすら求めて釣り場を転戦していると思い込んでいた。ある日突然、「最近、淀川のワンドでタナゴ釣りにハマってまんねん」と、恥ずかしそうに告白する。「釣りなら何でも節操がない」という私の反応を読み切って自ら恥じた、というところだろう。

 その手引きをしたのが前回タナゴ釣りの記事で登場した近所で生花店を営む今村晃さん。その師匠格が今回登場する京都市伏見区に在住する澤伸行さんというから、錦さんは澤さんの孫弟子ということになる。

 澤さんはタナゴ釣りを始めて30年という大ベテラン。タナゴ釣りそのものだけでなく、その周辺も含めて楽しむ「江戸の粋」に通じる人、と弟子筋は言う。タナゴ浮子を自作し、仕掛けなどの考察にもセンスがあるらしい。

 澤さんにタナゴ釣りの魅力について伺うと「タナゴは、ほぼ1年中釣れます。美しい婚姻色が出る春は、飼育しても楽しめます。水温が上がりだすと、活性も高くなり簡単に釣れるようになります。しかし、数が釣れるのは意外にも冬なんです。同じ場所に群れるので、移動を繰り返してポイントを探し当てればこの時期は数釣りが可能です。また、この時期はアタリも繊細で格別のものがあります」と語った。

 食べるんですか? と聞くと、即座に「肝吸虫などの寄生虫がいる可能性がありますので、生食は危険です。私は食べませんが、唐揚げや雀焼き、つくだ煮で食べるとおいしいと聞いています。食用としての価値より、観賞魚としての価値が高いと思っています。比較的温和な性質で他種との混泳も可能ですが、過密飼育には弱いようです」と、さすが釣りだけでなく、周辺の造詣も深い片りんがのぞいた。

週末のイチオシ気配

■船(1)■栖原・和歌山

 カワハギ上昇気配。中紀あたりで15〜28センチがいい人で10〜25尾程度の安定した釣果が出ている。30日、日ノ岬沖で同魚20〜27センチ16尾。エサはアサリのむき身。要予約。▽かるも丸=電話0737(62)3527

■船(2)■石鏡・三重

 午前便でヒラメ絶好調。30日、石鏡沖30〜40メートルポイントで同魚42〜62センチ11尾。同日は船中36尾。オモリ60号、ハリス6号。エサは生きイワシ。要予約。▽三幸丸=電話0599(32)5604

■磯(1)■市江・和歌山

 グレ、イガミ共に好調。30日、中島で3人連れが同魚30〜38センチ49尾。他にも大島で30〜38センチ20尾など。イガミもホンダワラをエサに28〜42センチ14尾。▽吉丸渡船=電話0739(52)3883

■磯(2)■大引・和歌山

 ヒジキやアシカの子などでグレ30〜35センチ5〜10尾(フカセ釣り)、イサキ28〜35センチ5〜10尾(カゴ釣り、フカセ釣り)。また、水温高く底物もイシダイの活性高い。ビジャコ、ヒジキ、アシカの親などで35〜40センチ2〜4尾。水温21度前後。▽村井渡船=電話0738(65)1041▽上野渡船=電話0738(65)1222

■筏■本浦・三重

 チヌ堅調。29日夕、同魚27〜40センチ13尾(オキアミ・コーン)。エサ盗りはヘダイ、アジ、フグ、ボラ、アイゴなど。エサにカキを使うと年無し期待できる。▽やま栄渡船=電話0599(32)6009

■波止■武庫川一文字・兵庫

 例年の実績からキビナゴをエサにズボ釣りでアナゴの釣果がそろそろありそう。30〜35センチが主体で、当初は5〜10尾の釣果であるが年開けに向けて上向く。釣り荒れる前が狙い目。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519

■管理釣り場■芥川・大阪

 ニジマス20〜45センチがいい人で40〜50尾前後釣れている。エサはブドウ虫、イクラ。サオは4.5メートル以上で長いほど有利。道糸1号、ハリス0.8号、マス針5号。▽芥川漁協=電話0726(88)0224

(大阪日日APG 清水智之)