大森均の釣れ釣れ草

初釣りの武者震い

2017年1月6日
筆者の得意技。過酷な条件でも睡眠補給が可能です
美しい初日の出

 釣り師というのは、やれ納竿だ、初釣りだと、一応もっともらしいお題目にかこつけて釣り場通いに精を出す。年がら年中釣行を重ねている身には、別段、何ということはないわけなのに、まるで仕事か義務でもあるかのように「初釣りだ!」と家人にPRして出かける。言ってみれば、信心深い人の初詣のようなもので、済ませておかないと落ち着かない。そこで一年の縁起担ぎと、御利益も早々に大吉の釣果を望んで、あれこれと釣り場の選定に頭を悩ませることになる。釣行前の期待や興奮は、古今東西、今も昔も変わらないらしい。

 かの幸田露伴が釣仙といわれるほどの釣り好きであったことはよく知られている。そもそも露伴の遊びは、多彩な変遷の中で、釣りだけはほとんど一生続いた。釣友である石井研堂との初釣り釣行前の手紙のやりとりには、釣行を「出陣」と表現しながら、「武者震いがする」などと出かける前の高ぶる胸の内を伝えている。

 露伴ですらこうなのだから、われわれ凡人が遠足前の子どものように前日寝つけないのは当然といえる。深夜出発することが多い私などは、寝そびれてしまって一睡もせず釣り場に立つことも一度や二度ではない。その睡眠不足を磯の上で寝て補う、という本末転倒ぶり。

 ▽名人はおめでたい

 釣行前の釣り人は恐ろしいほどテンションが高い。車中での会話も弾む。その車中の雰囲気に釣り込まれると寝そびれる。その点、名人や達人と呼ばれる人は違う。E名人などは睡眠薬を服用し、しっかり眠って万全の体調で釣りに臨む。睡眠不足の周囲と釣り以前に差がついている。こんな名人たちに数多く出会ってきたが、たいていは家庭生活ではダメ男で、仕事上の評価などまったく意に介さない。

 「この20年、家で正月を迎えたことがない。せっかくまとまって休みがあるのに正月に釣りに行かないでいつ行くの?」と、妙な説得力を発揮する。「親戚などが来るでしょう」。「何にもわざわざ正月に会わんでもいつでも会える」と軽くスルー。「釣りと私とどちらが大切? なんてことを奥さんに聞かれたことないの」。「ほれた亭主が機嫌よく好きなことをやっているのを喜んどるようや」と、もう付ける薬がない。

 彼らに共通して言えることは、人生のすべてに平均点を取ろうなんてことはつゆほども思っていない。社会生活では0点だっていい、と考えているフシすらある。しかし、こと釣りに関しては恐ろしいまでの執念を持っていて、99点ではなく、100点でなければ満足しない完璧主義者たちなのである。

 だから、夢まで見ながら釣り場でしっかり睡眠を取っている私などは、侮蔑の対象にしかなっていない。平凡よし、非凡よし、2017年の年頭にあたり、この素晴らしい趣味に出会えたことに感謝しつつ、読者の釣運をお祈りする。

週末のイチオシ気配

■船■比井・和歌山

 日の岬沖トフの良型ハマチ好調。4日、同魚52〜55センチ16尾が竿頭。ハリス8号、オモリ120号。エサオキアミ。しばらく続く模様。要予約。▽岬旅館=電話0738(64)2975

■ボート■紀伊長島・三重

 名倉湾内に手ボートで出てカマス絶好調。4日、手漕ぎボートで同魚25〜42センチ115尾の大漁。仕掛けは、市販ジグサビキ。要予約。▽石倉渡船=電話0597(47)0712

■伝馬船■印南・和歌山

 イサギ22〜33センチがいい人で20〜40尾、グレ(30〜35センチ)も数尾まじる。完全フカセまたは天秤フカセ釣り。要予約。▽木下丸=電話0738(42)0313

■磯■出雲・和歌山

 4日、金床でグレ32〜39.5センチが8尾。同日、エンイチで同魚32〜39センチが5尾。更に上昇気配!タナは3〜4ヒロ。▽小川渡船=電話0735(62)07430

■波止(1)■神谷一文字・和歌山

 カゴ釣りでグレ30〜35センチ1〜5尾とウマズラハゲ30〜35センチ1〜3尾。潮次第でハマチ45センチ1〜2尾が期待できる。タナ6ヒロ。▽かみや荘=電話0738(65)1992

■波止(2)■妻鹿・兵庫

 オキアミ使いのフカセ釣りでチヌ好調。慣れた人は、30〜40センチを5尾程度釣っている。場所によりグレ22〜28センチが2〜5尾まじる。▽日の出渡船=電話0792(46)3030

■投げ■泉佐野・大阪

 一文字でカレイ本格化。平均20〜30センチが1〜4尾。エサは青イソメ。投点は40〜50メートル。他にシラサエビのウキ釣りでガシラ15〜23センチが10〜20尾。▽菊川渡船=電話072(462)8945

■管理釣り場■水無瀬川・大阪

 4日、20センチ前後のアマゴ24尾。この釣り人の仕掛けは、ハリス0.3号、アマゴ針5号。エサはブドウ虫。▽漁協=電話075(961)6500

 (大阪日日APG 松田勝也)