大森均の釣れ釣れ草

釣り狂い

2017年1月20日
流麗な取り込みで魚との距離を詰めるO名人の釣り姿

 尋常ではない釣り好きは意外に多い。それは「実家の父は釣りが好きで月イチで出かけます」って言うレベルではない。頭の中は釣り一色、もちろん釣り以外の趣味はなく、スパース・グレイ・ハックルが言う「もし釣りが仕事の妨げになるなら、仕事の方を諦めなさい」という言葉をたびたび実践している釣り狂いは私の釣友に多くいる。

 全国的に名の知られた徳島のE名人は、大手上場企業に勤める間に幾度も転勤を勧められたが、「出世なんかしとうない。徳島から離れたら釣りに不都合が生じる」と昂然と拒否。一般の常識では考えにくいが、仕事より釣りが大事という明快な筋の通り方(?)が名人レベルに多いから笑えない。

 ▽釣り場でデート

 さらに上がある。そのEさんが「あんな釣り好きの人はおらんなぁ」という人がいる。御年76歳のO名人は、季節ごとに対象魚を変えて週に3回程度釣行に及ぶ。それも一人で運転をし、月曜日は鳥羽、水曜日は湯浅、金曜日は日本海へという具合に広域的に出かける。失礼ながらその年になると疲れも出て意欲も後退するのが普通と思われるが、「楽しいことしてるのに疲れますか?」と反対に尋ねられるから恐れ入る。このレベルになると、われわれのように釣りに行く際に家内の顔色をうかがうなんていうことはない。たぶん夫人も嫌みを言おうが何と言おうが変化があるわけでもなく無駄に抵抗をしないと想像される。

 半世紀前の恋愛中の話をご本人から聞いたことがある。芥川でアユ釣りをしている現場に夫人が弁当を持って訪れたという。お昼を一緒にして、その後何時間も釣り姿を眺めて帰路を共にする…。「いつもそんな調子でした」と、笑いながらおっしゃっていた。それがデートだった。弁当まで作って釣りに協力(?)していたのだから、結婚後に「こんなに釣り狂いとは知らなかった」とは言いづらい。これはOさんの作戦勝ちか?

 ▽180キロをとって返す

 以前Oさんに「Oさん以上の釣り好きはご存じないでしょう?」と聞いたら、即座に「Mさんは私より確実に上です」ときっぱり。M名人もOさんと並び称せられるほど釣りの世界では名の知られた人であるが、Oさんが「私はそこまで好きではありません」というから相当なもの。「ぜひその根拠を」と、お伺いしたいきさつは以下の通り。

 Mさんはその日、日置川でアユ釣りに興じていた。魚は多く条件はいいのに釣り開始からしばらくアユを手にできない時間が続いた。周囲も釣れている様子がない。名人たちはここから推理する。釣り方を変える。仕掛けを変える。針を変える。途端に釣れる。われわれのような釣り師でさえ、推理が的中し爆釣すれば、もう一度試してみたいと次の釣行に胸がはやる。

 Mさんはこの日、日が暮れるまで釣った。一日中、川に立ち込んで疲労困憊(こんぱい)になるほど釣ったはずである。そのまま、宿で泊まって明日もということはありえないことではない。しかし、この日どうしても日付の変わるころまでには大阪の自宅に帰らなければならなかった。帰ったらしい。

 1時間後、走ってきた180キロの道のりを一睡もせずにとって返したというからあきれるばかりだ。世の中上には上があるもんです。

週末のイチオシ気配

■船(1)■湯浅・和歌山

 数は20〜30尾と少ないが、脂がのってすこぶるおいしいラングイの寒イサギが上昇気配。潮次第で対象魚を切り替えることがあるため要確認。要予約。▽なぎ丸=電話0737(62)3890

■船(2)■敦賀・福井

 22時に出船する深夜便でヤリイカ&スルメイカが楽しめる。ヤリイカ胴長25〜40センチ60〜140パイ、スルメイカ胴長20〜25センチ20〜100パイの釣果が期待できる。半夜便、深夜便など日により変更するので要確認。要予約。▽豊漁丸=電話0770(26)1160

■船(3)■北港・大阪

 関西で初めてのショウサイフグのカットウ釣り乗合船がスタートした。18日、同魚25〜32センチが11尾など30センチ超の見事なサイズも多く上がった。仕掛け等は同店ホームページか電話にて。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

■磯■尾鷲・三重

 水温下がり食いが全般的に下降気味。食いが落ちる直前に実績のあつた尾鷲(18日現在16度台)が復調気配。グレ30〜40センチ2〜5尾期待できる。▽宮城野渡船=電話05972(2)1347

■波止■妻鹿・兵庫

 フカセ釣りでチヌ絶好調。18日、5番テトラ側で2人連れがチヌ30〜43センチ11尾、同所で同魚30〜45センチ8尾。エサはオキアミ。前日17日にはルアーで1メートルのブリが上がった。▽日の出渡船=電話0792(46)3030

■釣り公園■尼崎釣り公園・兵庫

 ハネ期待。30〜50センチ前後が1〜5尾程度期待できる。この釣り場は、ズボ釣りで底近くを狙っても同様の釣果が期待できる。底撒き器を使って、マキエとサシエをしっかり合わせる。▽尼崎釣り公園事務所=電話06(6417)3000

■管理釣り場■水無瀬川・京都

 アマゴの17〜26センチが連日20尾前後の安定した釣果。エサはミミズか生イクラ。18日、事務所下流で17〜21センチ21尾、道糸0.4号、アマゴバリ5号、エサは生イクラ。▽水無瀬川漁協組合=電話075(961)6500

 (大阪日日APG 清水智之)