大森均の釣れ釣れ草

伝統的な「紀州の技」

2017年5月1日

衣奈のチヌ釣りで47センチ

チヌの竜田揚げ

 チヌは悪食の大家だ。釣りに興味を持ち始めた中学生の頃、釣りの本に海水浴のシーズンにスイカをエサにチヌを釣る記述があり、その驚きが半世紀を経た今も記憶にある。

 オキアミ、エビ、カニはもちろん、サツマイモ、ミカン、サナギ、麦、トウモロコシなど、おおよそ魚類が口にしないであろうとイメージされるものまでエサになる。このような食性を持つことから、ミカンやサツマイモの産地でそれをエサにした釣法が発展した。

 また、チヌほど日本の釣り人を楽しませてくれた魚はいない。古くは、庄内藩において藩主が武士のたしなみとしてクロダイ(チヌ)釣りを奨励した。合戦道具を誇るがごとく、工芸品のような凝った道具を張り合ったらしい。今日、全国の釣り雑誌をみても、チヌが取り上げられていないものはないし、その割かれている量で人気のほどをうかがい知ることができる。

 フカセ釣り、紀州釣り、カセのかかり釣り、防波堤のヘチ釣りと大きく分けられた中で、「濁り」に集まるチヌの習性を見事なまでに突き詰めた伝統的な「紀州の技」は、堤防や磯からウキを使って遠投する釣りと筏(いかだ)やカセ(小船)から短竿(さお)で足元を攻める二つの釣りに「ダンゴ」を共通項に分かれて進化した。

■ドーンと重量感が■

 4月25日、茨木市の薮田耕三さんは、今年に入って2回目の筏のチヌ釣りに中紀の衣奈に出かけた。筏から繊細な軟調の短竿で釣るこの釣りは、針と小さなガン玉を付けただけのシンプルな仕掛けでエサをダンゴで包んで海底へ落とし込む紀州発の釣法だ。

 午前7時の2番船で筏にあがり、とにかく釣り始めた、と言う。

 「釣り始めは、オキアミをダンゴに包んで魚を寄せるつもりで短いピッチで打ち返しました。数回そんな動作を繰り返し、穂先に先ほどまでとは違う変化が表れました。コツッ、コツッと小さいが力強いアタリを大きくあわせました。ドーンと重量感が伝わり、竿は、穂先がリールを持つ手に触れそうなぐらい曲がりました。やりとりをしながら少しずつ距離がつまり、海面近くでギラッとシルバーメタリックの魚体が反転しました。慎重にタモ入れをして筏の上で検寸をすると自己記録更新の47センチ。その2投後、また来ました。今度は44センチ。しかし、この日は、撤収前にそれらしいアタリが一度あっただけで、釣果には結びつかず納竿となりました」と、それでも初めて40センチ以上のチヌを2尾釣った薮田さんはうれしそうに語った。

 さらに「前回は釣果に恵まれませんでしたが、今日はなんとなく1尾ぐらいは釣れるような予感がありました。しかし、47センチと44センチのサイズが2尾も釣れるとは考えていませんでした。ラッキーです。次の休みも行きます!」

■竜田揚げにリンゴ■

 その魚はどう調理したか、をお伺いすると「チヌは食べることには評価が高くありませんが、私が一番おいしいと思うのは竜田揚げです。調理の過程でショウガじょうゆに漬け込むことから生臭さも取れます。私なりのこつは、砂糖は使わずみりんで甘味をつけて、ショウガ多めの漬け込みしょうゆタレにリンゴを4分の1ほどすりおろして混ぜると、味がまろやかになりおいしくいただけるようです。この日の魚は大きかったので、3枚におろして一口大にカットしました。ビールがたいへんすすみました」と、薮田さんから満面の笑みがこぼれた。

週末のイチオシ気配

 ■船(1)■比井・和歌山

 イサギ上昇気配。ここは40センチ位までの良型が多くヒットしてくる。尻上がりによくなる見込み。20〜60尾は期待できる。要予約。▽岬丸=電話0738(64)2975

 ■船(2)■鷹巣沖・福井

 三国沖でマダイが釣れだした。数は35〜65センチが2〜4尾。しかも、例年のデータからもそろそろ上昇必至。要予約。▽越前FC=電話0776(22)1095

 ■磯(1)■梶賀・三重

 1日から大黒周辺が解禁し、紀東一帯で半夜釣りが始まる。例年の実績から、正午から出船する半夜釣りで大型一発が期待できる。エサはボイル。▽榎本渡船=電話0597(27)2211

 ■磯(2)■神谷・和歌山

 チヌおもしろい。神谷の蟻島「インキョ」「蛇の鼻」は大型の実績場。40センチ台3〜5尾見込める。なお、アオリイカも生きアジのヤエン釣りで2〜5ハイ。▽佐知丸=電話0738(65)0736

 ■ボート■紀伊長島・三重

 ボート釣りでキスが好調。イシゴカイのエサで22センチまでを30〜40尾(手こぎボート)。手こぎボート50隻、船外機付ボート25隻あり。要予約。▽石倉渡船=電話05974(7)0712

 ■波止■岸和田・大阪

 エビ撒き釣りでハネの期待できる。サイズは40〜55センチがそろうが、70センチオーバーも十分期待できる。▽岸和田渡船=電話072(436)3949

 ■投げ■垂水一文字・兵庫

 潮向きが限定されるが、明石大橋に向いて潮が流れる時は西の端から投げで良型マダイ(40〜60センチ)が期待できる。▽船長丸=電話078(707)7181

 ■バス■琵琶湖・滋賀

 水温の上昇に伴って釣果も上向き。連日50センチ台がヒットしている。スピナーベイト、ワームにヒット。▽小林貸船釣具店=電話077(522)6347

 (大阪日日APG 松田勝也)