金井啓子の現代進行形

総選挙もいよいよ終盤戦

2017年10月19日

国を作るのは国民という意識を

 衆議院選挙の投票日まであと3日。選挙戦はいよいよ終盤戦に突入した。

 さて、今回の総選挙をめぐっては想定外の出来事が立て続けに起こった。突然浮上した解散話にまるで合わせるかのように、小池百合子都知事は国政政党「希望の党」を立ち上げた。と同時に、民進党の前原誠司代表が同党を実質的に解党し、一部が希望の党に加わった。希望の党を嫌った前民進党議員らは枝野幸男元官房長官を筆頭に立憲民主党を結党し、今回の総選挙では希望の党よりも存在感を示している。ここまで混沌(こんとん)とした総選挙も、かつてなかっただろう。

 それだけに、今回の総選挙は候補者も混乱したが、それ以上に有権者も戸惑っている。各マスコミの世論調査で「支持政党なし」が自民党よりも多いのは、その証拠ではないのか。支持する政党がないのは、政治に期待していない人たちが一定数いるだけでなく、どの党に票を投じてよいかがわからない人も少なくないということだろう。中には、何のために解散したのか、意味がさっぱりわからないという人も相当数いるはずだ。「大義」があるようで、はっきりとした大義が見えない今回の総選挙だからこそ、「支持政党なし」と政治に背を向ける人が増えたのではないのか。

 ミサイル実験を繰り返し米国を挑発する北朝鮮。この国の脅威は確かに無視できない。だが、解散前と解散後とで、北朝鮮の脅威への対処と安全保障の議論にどのような違いがあるというのか。また、改憲の論議も必要かもしれない。ただそれなら、わざわざ解散する必要などなかったろう。自公を含めて解散前には改憲に前向きな政党の議席が3分の2を超えていたのだから、改憲の発議をしようと思えばできたはずだ。

 ただし、そうは言っても選挙戦はもはや終盤戦。納得のいかない解散が行われたことの是非についてはこれからも問い続けなければならないが、まずは、私たち有権者は与えられた権利の行使に務めなければならない。

 私個人は今回の総選挙を、国家の形をあらためて決めるものではないかと思っている。現在の国家とは、突き詰めれば安倍政権と自民・公明の連立政権のことだ。果たしてこの形がベストなのか、それとも別の形がよりふさわしいのかを、有権者一人一人が持つ一票によって決めるということである。森友学園と加計学園の両問題に象徴的に表れたが、この国の政府は民主主義を守り国民にきちんと向き合ってきたのか。そして、新党には、国の未来を託するだけの実力と気概があるのか。

 国家を形作るのは、最終的には私たち有権者の意識にかかっている。混沌とした総選挙だからこそ、私たち有権者はより冷静な目で一票を投じたいものである。

 (近畿大学総合社会学部教授)