金井啓子の現代進行形

異様に長い勾留に感じる不安

2017年12月28日

本当に日本は民主国家なのか

 ジャーナリストは命がけの仕事だと思わされる数字が今年も出て来た。「国境なき記者団」が、報道に関連して今年殺害された記者やメディアのスタッフらが65人に達したと発表したのである。シリア、メキシコ、アフガニスタンが多かったが、「パナマ文書」の報道に関わり爆殺されたマルタの記者も含まれている。

 また、身柄拘束されたジャーナリストは326人で、国別では52人を占める中国がトップとなっていることも併せて明らかにされた。

 ミャンマーではイスラム系少数民族ロヒンギャへの迫害問題を取材中に、ロイターのミャンマー人記者2人が今月半ば、治安部隊の内部文書を所持していたとしてヤンゴン市内で逮捕された。このコラムを書いている時点では、解放の報はまだ届いていない。ミャンマーでは軍政から転換して以来報道の自由をめぐる環境が徐々に改善してきていたというが、今回の件を受けて各国から非難の声が高まっている。

 一方、日本でも気になる事例が現在も進行中だ。ジャーナリストではないが、あまりに勾留が長過ぎるのではないかと思われる2人がいる。7月31日に逮捕された森友学園前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告である。先週の報道によると、弁護人は11月に保釈請求したが大阪地裁に却下され、弁護人以外との面会ができない接見禁止が続いているという。

 こういった事件の容疑者や被告となった場合、保釈が認められないのは証拠隠滅や逃亡の恐れが強い場合というのが一般的なはずである。この2人の場合、既に証拠となるようなものは全て差し押さえられていると思われるし、逮捕前の様子を思い返しても逃亡しそうにない。第一、これだけ全国的に顔が知られ、なおかつ注目の2人であることもあって、仮に逃亡を試みたとしてもかなり困難だろう。

 念のために言っておくが、私の国家観や教育に対する考え方は彼らとは全く異なる。だが、それとこれとは別問題だ。政府が公式には認めないだろうが、籠池夫妻と安倍首相夫妻のつながりが強いと報じられてきたことが、今回の異例に長い勾留の背後にあると見てほぼ間違いないだろう。権力者に不都合な者は痛い目にあうということを、私たち国民は「よく見ておけよ」と政府に言われているように思えてならない。本紙にこのコラムが掲載される時に彼らが保釈されていればうれしい誤算だが、事態はそれほど楽観視できないだろう。

 ところで、国境なき記者団が発表した2017年の報道の自由度ランキングによると、冒頭に描写したミャンマーは第131位、日本は第72位だった。両国はまだまだ遠く離れている。だが、日本の順位は年々下がってきている。ミャンマーのようなジャーナリストの拘束が日本では起きない状態が2018年も続けられるのだろうか。不安な年の瀬ではある。

 (近畿大学総合社会学部教授)