金井啓子の現代進行形

大阪の若者は政治に目覚めるか

2018年2月8日

20代が勝敗決めた名護市長選

 米軍の基地移設問題で揺れる沖縄県名護市。その名護市で市長選挙の投開票が行われ、自民党と公明党、維新が推薦する渡具知武豊氏が初当選を果たした。辺野古への基地移設を反対する現職の稲嶺進氏を破ったことで、沖縄の米軍基地問題は大きな転換点を迎えるだろう。

 この市長選は基地移設問題が最大の争点だったが、渡具知氏が地域経済の振興などを訴えたことが勝利につながったのではないかと見られている。

 確かに、沖縄県の経済状況は良いとは言えない。総務省統計局と沖縄県企画部によると、昨年12月の沖縄県の完全失業率は3・0%で、これは全国平均の2・8%を上回っている。また、15歳から29歳の若年層の完全失業率は6・9%と、これは全国平均の3・8%を3ポイント以上も上回る。

 若者に働く場所がないというのは地域にとって深刻な問題だ。若者の流出で過疎化を生み、ますます地域が廃れるからだ。だからこそ、名護市長選では20代有権者の多くが渡具知氏に投票したというのもうなずける。

 若者は基地よりも仕事。一方、リタイアした高齢者の多くは辺野古への基地移設に反対。このような構図を見て基地の移設推進派からは「若者が勝利に導いた」という声まで上がっているという。

 もっとも、高齢者と若者とで政治信条が異なるのは今回に限った話ではない。例えば2015年5月17日に行われた、いわゆる大阪都構想の是非を問う住民投票でも同じ傾向が認められた。60代、70代の有権者は反対票が多く、逆に20代は賛成多数だった。このため「高齢者が都構想を止めた」という皮肉まじりの声が上がり、当時も今も広く信じられている。

 だが、大阪市が発表した「年齢別投票行動調査」を分析すると、必ずしもそうとは言えない。実際に投票した20代の有権者は確かに賛成が反対を大きく上回ったが、同時に棄権した者は20代有権者の約55%もいたのだ。対して、60代と70代の棄権は約22%。この結果からわかるのは、前回の住民投票では若者が高齢者に負けたのではなく、若者の無関心が反対多数の結果を生んだということだと言えるだろう。

 松井一郎大阪府知事と吉村洋文大阪市長によると、その住民投票は今年秋にも再び行われる可能性が高いようだ。そのとき若者はどう行動をするのだろうか。沖縄と違って大阪の経済はまだマシだ。若者が働く場所もある。だったら、またまた無関心を貫くのか。それとも若者に人気のある橋下徹さんが「いまは住民投票をやるべきではない」と訴えたことから、その言葉に従って住民投票そのものに反対するのだろうか。

 いずれにしても社会の行方を決めるのは、いつの時代も若者たちなのは間違いない。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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