金井啓子の現代進行形

沖縄知事選をファクトチェック

2018年9月6日

有権者も公正な判断と投票を

 翁長雄志知事の死去に伴って、沖縄県知事選挙(9月13日告示、9月30日投開票)が行われることになった。そこで、私が理事として関わっている特定非営利活動法人ファクトチェック・イニシアティブ(FIJ)では、選挙期間前後に沖縄問題に関する情報のファクトチェック(真偽検証)を推進するプロジェクトを実施することが決まった。

 さて昨今は、インターネットの発展、会員制交流サイト(SNS)の拡大、政治における分断などさまざまな要因によって、フェイクニュースが横行する時代となっている。事実に基づかない情報や批判は普段の時期でも活発に飛び交っているが、選挙期間となるとその度合いが何倍にも強まる。自分が支持している候補者に関する好意的な情報は真偽に関係なく信じたくなるし、批判的な情報はウソに違いないと決めつけたくなる心情はわからなくもない。

 だが、選挙は、その結果によって、自分が住む国、都道府県、市町村をどのような場所とするのかを決めるものであるし、自分の生活に直接影響を及ぼしうる法律が制定されるかもしれないのだ。そのため、「信じたい」「信じたくない」情報ではなく、真実を手に入れた上で投票に臨まねばならない。だからこそ、選挙に関わるファクトチェックは重要性が高いと私は考えている。

 FIJは、昨秋の衆議院議員選挙でもファクトチェックのプロジェクトを行った。日本初のこうしたプロジェクトであり、四つのウェブメディアが参加する形で実施された。安倍首相や松井大阪府知事、テレビのコメンテーターなどの発言、新聞の社説、ネットで話題になったうわさなどについて真偽が検証された。この結果が多少なりとも有権者の投票行動に影響を及ぼしたと思っているし、そうあってほしいとも願っている。

 今回の沖縄での選挙をめぐって広がるであろうさまざまな言説の真偽を検証することは、沖縄の有権者のためだけに行うものではないと私は考えている。今後の沖縄の基地問題がどうなるかは日米関係にも大きな影響を及ぼすものであり、沖縄以外に住む人たちにとっても無関係ではいられないからだ。

 FIJでは今回のプロジェクトで、より多くのメディアの参加を呼びかけるとともに、メディアに属さない人たちもファクトチェックに参加しやすくなる仕組みを作る。たとえば、ファクトチェック記事を公募して必要に応じて調査や記事作成をサポートしたり、ファクトチェックをしてほしい情報を集めて公開する。また、サポートメンバーも募集している。さらに、今回のプロジェクトを実行するにあたって必要な経費約175万円をクラウドファンディングで募っている。

 ファクトチェックを日本でもっと根付かせるため、そして真実を広く流布させるために協力をみなさんにお願いしたい。 (近畿大学総合社会学部教授)



サイト内検索